2006~12年にヤクルトのユニフォームのデザインを担当
今、野球界のウエアはどう変わっているのか。現在、ビームス クリエイティブ ディレクターズルームのディレクターの水尾旅人さんはこう語る。
「意外に思われるかもしれませんが、ビームスは20年ほど前から野球界と接点があったんです。当時ゼットと契約していたプロ野球選手が自主トレで着るウエアを内々でデザインしていたんです(一般発売はせず)」
その後、東京ヤクルトスワローズの監督に古田敦也さんが就任(当時は選手兼任)した2006年から2012年にかけては、試合で使用する公式のユニフォームのデザインを手掛けた。
こうした動きをきっかけに2010年にはデザインも含めたBtoB(企業間取引)のライセンスビジネスを手掛ける事業「ビームス デザイン」を社内で発足させ、2019年には同チームがプロデュースしデザインを手掛ける「ZETT by BEAMS DESIGN」が誕生したという流れだ。
この「ZETT by BEAMS DESIGN」はパーカーやTシャツなど、ゼットが持っていた伝統ある野球用品メーカーが培ってきた高い機能性に、BEAMSのスマートなファッション性が加わったハイブリッドなアイテムだ。
これらをゼットのプロ契約選手(グローブ、バットなど)である千賀滉大(ソフトバンク)、森唯人(同)、源田壮亮(西武)、大瀬良大地(広島)らプロ選手が自主トレ時などに着用。野球界で静かなブームになっていく。
デザインの特徴は「野球っぽくない」ところだろう。昨年まで「ZETT by BEAMS DESIGN」を手掛けてきた水尾さんはこういう。
「一番は『BEAMSっぽい』と思っていただけるようなデザインを心掛けています。個人的にもゴテゴテしたものや派手なものがあまり好きではないので、どちらかというと引き算のデザインですね。シンプルだけど、何か一味違う印象を見る人に与えたい」