人生の最終章を見事に演じ切って亡くなった

萬田緑平『家で死のう! 緩和ケア医による「死に方」の教科書』(三五館シンシャ)

そして日付が変わった深夜1時、明美さんの呼吸は止まりました。親戚家族がみんな集まって、大勢に囲まれながら亡くなっていきました。「自分であと2、3日と宣言して、本当にそのとおり逝っちゃった。母はわかっていたんですねえ。でも、母の最後の望みが叶えられてよかったです」娘さんの言葉を聞き、私は明美さんと初めて会ったときの会話を思い出しました。

「入院している患者さんは死ぬまで病院から出られなくて、みんな『ムンクの叫び』だよ。あたしが死ぬときはみんな別れを惜しんで泣いてくれて、あたしは笑って死ぬ。そうするんだって決めているんだ」

もし明美さんが「治療する道」を選んでいたら、大勢の親戚たちに囲まれて亡くなっていくことはできなかったでしょう。明美さんは、人生の最終章のシナリオを自分で書き、見事シナリオどおりに演じ切ったのです。それを実現させるための時間は「あと2、3日」しかないことを、あのとき明美さんはわかっていたのかもしれません。

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