早逝する子供は、自分の「死」にどう向き合うのか。急性リンパ性白血病のため4歳で亡くなった青木一馬くんの担当医だった萬田緑平さんは「4歳児が『死を受け入れる』ことなどできるはずがないと思うかもしれない。しかし、そんなことはない。たとえ何歳でも、人は自分の死期がわかる」という――。(第1回)
※本稿は、萬田緑平『家で死のう! 緩和ケア医による「死に方」の教科書』(三五館シンシャ)の一部を再編集したものです。
なぜ「難病」は治すことができないのか
若いころから発症する病気について、「それは老化です」といわれたら、気分が悪くなる人もいるでしょう。
言葉の定義の問題になりますが、若くして病気になるということは、なんらかの理由で、その臓器や体のシステムの老化の速度が速かったということです。そのような病気は「難病」と呼ばれます。
比較的若い時期に発症する難病として「リウマチ」があります。リウマチは関節が炎症を起こすことで起きます。なぜ炎症が起きるかというと、自分の体を守る仕組みである「免疫システム」が異常をきたすからです。なぜ、免疫システムが異常をきたすのかは、本当の意味で医学では解明されていません。だから、リウマチを「治す」ことはできないのです。
リウマチの治療は、苦痛をやわらげる、病状の進行を緩やかにする、元の体に戻ったかのように錯覚させる、程度のことしかできません。ほかの病気も同じですが、医師がいう「治る」と、一般の人が考える「治る」は、意味合いがかなり異なるので注意する必要があります。
貧血(再生不良貧血)も「難病」に指定されています。ひと口に貧血といっても、症状の大小はありますが、貧血とは血液の生産能力が低いことを指します。血液は、体の中で作られています。血液の原料になる細胞が体のさまざまなところに蓄えられていて、その原料細胞にいくつかのシステムが働き、白血球や赤血球、血小板などが作り出されているのです。
その仕組みは一部しか解明されていませんが、多くの人は70~80年で血液の生産能力が低下していきます。