いわれのない太陽光ヘイトは化石ファミリーの利権を守る
現在のGX計画においては、国民の電気代負担についての記述はもちろんありません。こうした大企業の願望をただ寄せ集めた計画においては、失敗のツケは国民に押し付けられるのが常套手段。そもそも現状でも、電気を配る系統の使用料金(託送料金)は、企業より家庭の方がはるかに重く負担させられています(「東京電力 託送料金の算定」)。
この先、人口減少が本格化すれば、化石社会の維持コストが一人ひとりに重くのしかかることは避けられません。このGX計画が粛々と進められた20XX年、日本国民にどれほどの負担が押し付けられるのか、我々の暮らしはどうなるのか、筆者は正直なところ、見当もつきません。
本来はこうした偏重政策を攻撃すべき野党ですが、先の「憲政史上最も軽い」内閣不信任案を必要もなく提出して無様に自爆する野党に、そうしたチェック機能は期待するだけムダなのかもしれません。次の参院戦で与党は圧勝し、「アカン!GX」計画は国民の支持を得たものとして強力に推進されていくでしょう。
本当の省エネ・脱炭素は、明治以来の中央集権的で重工長大産業中心の現システムから、分散・自律的な新しいシステムへの転換につながるものであり、家造りは本来その中心となるべき存在。しかし、今の日本を牛耳る化石ファミリーは、一度手に入れた利権を手放すことは決してないでしょう。太陽光ヘイトが吹き荒れ、まともな議論ができない現状が、彼らの利権死守のために何より大きな助けになることは間違いありません。
技術もコスト問題もクリアした太陽光に残っているのは「普及」のみ
ここまで、太陽光に関するよくある10の疑問について考えてきました。建設的な議論につながることにわずかな期待を残しつつ、まあ「結論が決まっている」人たちには意味がないかと諦めてもいますが。
筆者は今の日本を見ていて、1930年代はこんなだったのかなと想像することがあります。汚職がはびこる政党政治へのヘイトが吹き荒れる中、革新官僚と軍部・財閥が日本を牛耳り、国のためと言いつつ世界の潮流に逆らい、国民を破滅へと導きました(注7)。
注7:山崎雅弘『1937年の日本人』(朝日新聞出版)
筆者としてはせめて、日本のどこでも誰もが、冬暖かく夏涼しく、健康快適に電気代の心配なく暮らしを続けられることを願っています。幸いにして、その実現に必要な技術は完全に確立され、コスパも十分です。今から家を建てる人は、ものすごく幸運なのです。無責任な放言に惑わされず、自分と家族を大事にしてください。
国民一人ひとりの利益についてキチンとした議論が行われ、東京都など意識のある自治体の試みが成功し日本全体に広がっていくことで、誰もがその幸運の恩恵から取りこぼされることがないことを、心から祈ります。