「ゆっくり」話せば、失言やうっかりミスが減る

では、ここからは日常生活ですぐに実践できる「期待しない習慣づくり」を具体的にご紹介していきましょう。

まず、すべてに共通するといってもいいのが「ゆっくり」行なうことです。

ゆっくり深く呼吸をすることのメリットについては、本書の第3章で詳しくお話ししましたが、「ゆっくり」の効果が発揮されるのは呼吸だけに限りません。

ゆっくり話すことを心がけるのも、自律神経を整える上ではとても大切なポイントになります。

ゆっくり話すということは、しっかり呼吸をしながら対話ができるということでもあります。すると酸素が血液に十分に取り込まれ、良質な血液が脳や体の隅々まで行き渡ります。頭がクリアになるため、失言やうっかりミスも減るでしょう。

また、ゆっくり話すことを意識すると、言葉を選ぶ余裕が生まれます。感情が言葉に乗りすぎないため、相手をむやみに傷つけることもなくなります。

エモーショナルな言葉が効果的な場面もありますが、人は感情が入れば入るほど、話すスピードも速くなります。そんなときに他人からムッとするようことを言われると、反射的にきつい言葉で返してしまいがちです。

早口は相手の自律神経をも乱す

チッと舌打ちしたり、乱暴な言い方をしたりした瞬間に、イライラは増幅します。すると、とたんに交感神経が優位になり、早口でまくしたてることで、余計に興奮します。相手を傷つけてしまう失言や暴言は、たいていは早口から生まれます。

また、早口になっているときは、呼吸も浅く速くなります。

すると交感神経のはたらきだけが高まり、瞬間的にはやる気が湧き上がるものの、それが長く続くと血管が収縮し、血流が悪くなります。そのため、仕事や作業におけるパフォーマンスも下がってしまいます。

さらに、早口や乱暴な言葉は、口にしている当人だけでなく、聞いている相手の自律神経をも乱してしまいます。

伝えたいことは、ゆっくり静かに話す。

その一点を常に心がけるだけで、コミュニケーションが丁寧な人として周囲にも好印象を与えられるでしょう。好感度が上がれば、相手も「この人がそう言うなら」と力になってくれる場面が増えるはずです。