航空事業の育成と新幹線の開業が進む
こうしたなか、造船業だけでなく、航空機関連産業を長崎の新たな基幹産業に育てようという動きもある。2020年11月には、三菱重工業の子会社「三菱重工航空エンジン」が、三菱重工業長崎造船所内に航空機エンジン部品を製造する工場を新設した。年間100億円規模の売り上げを見込んでいる。更に、2022年4月には、同工場の第2期棟を建設し拡張すると発表された。造船業同様、航空機産業もすそ野が広い産業であり、下請け企業の進出や雇用の拡大などが期待されている。
そして、「100年に1度の変革期」とされるのが、いわゆる長崎新幹線の暫定開業だ。2022年9月23日には西九州新幹線(かもめ)が開業予定だ。長崎県長崎駅と佐賀県武雄温泉駅を結ぶ西九州新幹線は、ホームで乗り換える対面乗り換え方式(リレー方式)によって、長崎~博多間の所要時間が最大約30分短縮するという。2022年5月からは試験走行も始まった。新しい駅舎の高架下には2022年3月にオープンした商業施設「長崎街道かもめ市場」があり、飲食店や土産店を中心に54店舗が出店している。
駅前にはMICEと外資系ブランドホテルが誕生
長崎新幹線の暫定開業を見据え、JR長崎駅の移転に伴う新しい駅ビルや外資系ブランドホテル、スタジアムなどの建設も相次いで進められている。
JR九州とマリオット・インターナショナルは、「長崎マリオットホテル」を2023年秋ごろに開業すると発表している。約200室の客室を持ち、長崎駅に直結する新長崎駅ビルの上層階を占めることになる。
2021年11月には、地上11階建てで客室が200室の「ヒルトン長崎」が、長崎駅西口に開業している。国際会議やイベントを開催する大型コンベンション(MICE)複合施設「出島メッセ長崎」と隣接する場所だ。
「出島メッセ長崎」は地下1階地上4階建てで、メインのコンベンションホールは4600人の収容が可能だ。大中小24の会議室もあり、イベント規模に合わせて使用できる。長崎市によると開業時点での想定利用人数は、年間61万人。2021年9月時点で、今後1年間は94.8%の予約が入っており、経済効果は年間114億円が見込まれているという。