サッカースタジアム、タワマンの開業も予定
長崎駅北側の三菱重工長崎造船所幸町工場跡地では、ジャパネットホールディングスが手がけるサッカースタジアムを核に、アリーナ・ホテル・オフィス・商業施設を併設した「長崎スタジアムシティ」が2024年に開業予定だ。
観客までの距離が最短5メートルと日本一ピッチから近いサッカー専用スタジアムは、約2万席の客席を完備し、Jリーグ「V・ファーレン長崎」の本拠地となる。日本初のスタジアムビューホテルが併設され、スタジアム上空を通過するジップラインの設置も予定されている。バスケットボールやコンサートなどの開催が可能な可変型のアリーナは、約6000席の客席を完備。バルコニーやラウンジを備えたオフィスビルや商業施設も整備される。
長崎市新大工町での再開発事業では、長崎県内最高峰タワーマンションの「ライオンズタワー新大工町」が2022年10月に竣工予定だ。地上26階建て複合ビルの4階から26階に位置し、総戸数は240戸と長崎県内で過去最大戸数となる。25階と最上階の26階には、長崎湾を一望できる100m2超のプレミアム住戸を6戸用意している。
公示地価は上昇に転じている
このように、長崎新幹線を起爆剤に、MICEや外資系ブランドホテル、サッカースタジアムやタワマンの新設などにより、観光や修学旅行だけでなく、国際会議やスポーツ、エンターテインメントを誘致することにより、賑わいを取り戻そうとしているのだ。
実際、国土交通省が3月22日に発表した2022年の公示地価(1月1日時点)では、長崎市の住宅地は、新築マンション需要もあり0.7%上昇(前年度0.2%下落)、商業地は長崎駅前の再開発もあり1.9%上昇(前年度0.0%横ばい)と、ともに地価は上昇に転じている。
もっとも、冒頭に見てきたように、足元では長崎市は、観光客も人口も減少傾向にある。人口減少と少子高齢化が続く日本では、この先も過疎化が続き、東京一極集中だけでなく、福岡市や札幌市への一極集中など、地方都市のなかでも格差は広がってきている。
かような環境下、長崎市のような人口40万人規模の地方都市がどう生き残るのか、強みである観光や造船に加え、MICEや外資系ブランドホテルなどの誘致によって、新しい賑わいをもたらすことで生き残りを図る「元祖コンパクトシティ」長崎市には注目していきたい。