特徴的な利用者をご紹介したい。沖縄在住15年になる60歳代男性は、北海道の実家で入退院を繰り返す父の面倒を見に年に3回は利用する。容体の急変による急な手配が多く、直前ではANAの運賃に比べて数分の1となるピーチ利用は必須だと言う。

北海道在住の30歳代女性は、沖縄にいる交際相手に会いに行くと言う。毎月交代で行き来しており、「国内最大の遠距離恋愛を実践しています」と笑顔で話をしてくれた。

70歳代のご夫婦は札幌市に在住し、那覇との2拠点生活を実践する。1カ月に1回ペースで那覇に行き、賃貸マンションに滞在する。冬場の12月~2月は長期で那覇に住む生活を6年続けているという。ピーチを使えば札幌市内から根室に向かうより沖縄へ行く方が安く、知っている人は実践していると言う。

筆者撮影
新千歳—那覇線の機内。乗車率は88%に達し、客室乗務員はあわただしい

ビジネス客は極少、それでも搭乗率は88%の異様

筆者は3月中旬、新千歳から那覇行きの便に搭乗してみた。この便は180人乗りの機内に158人の乗客がいた。搭乗率は88%に達する。

Wi-Fiは未装備だが機内デジタルサービスでドラマやアニメなどの動画を見ることができるし、フライトマップで現在位置がわかる。海上が多い機窓だが、中国地方と九州ではマップと照らし合わせて地上を眺めることができる。本州を縦断し一気に南下する飛行ルートが新鮮で飛行時間は早く過ぎた。

同路線の客室乗務員にも話を聞いた。この路線は、沖縄を拠点とする客室乗務員が担当するとのことで、週1回は同じ路線を乗務する。飛行時間が長いことから乗客とコミュニケーションをとることができる。北海道での沖縄物産店の展開を目指すビジネスマンや、沖縄で個展を開く北海道の画家など機内で会う固定客もいるという。

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新千歳ー那覇線を担当する客室乗務員