いま「ギョーザの無人販売店」が大増殖している。2018年9月に1号店を開いた「餃子の雪松」は、たった3年で350店超に店舗網を拡大している。一体どこがウケているのか――。
餃子の雪松
写真提供=餃子の雪松

今年4月までに400店舗の出店を目指す快進撃

快進撃。そんな言葉が外食産業で最も似合う店舗がある。2018年9月に関東からはじまった「餃子の雪松」だ。

店舗にあるのは36個入り1000円の冷凍ギョーザだけ。販売方法は「冷凍庫からギョーザを出して、賽銭箱のようなところに1000円札を入れる」という超アナログ。それでも3年余りで353店舗(2月24日時点)にまで増えている。

東京商工リサーチによれば、2019年4月の売上高は約1億5000万円。それが、2020年度の売上高は6億円で、4倍になっている。2022年4月までに北海道以南の全国へ400店舗を展開する予定という。このスピード感は前代未聞といえよう。

「餃子の雪松」を運営する株式会社YESの高野内謙伍マーケティング部長は「うどんチェーンの丸亀製麺さんのように“気がつけば身近にあった”という店舗展開にしたい」と語る。

コロナ禍よりも前から無人販売を行っていた

なぜ、「賽銭箱に1000円」という奇抜な販売方法となったのか。高野内氏は「奇をてらったわけではない」と話す。

「まず断っておきたいのは、コロナ禍のテイクアウト需要の後押しこそあれ、成功している最も根本的な要因はギョーザだと考えています。無人販売は昔から日本にある手法を拝借しただけで、あくまでも手軽にお客さんに食べてもらうための工夫であり、またその手段なのです」