「多くの人に手軽にギョーザを」という思いが原点

こんな目からウロコの商売も、「すべては“雪松のギョーザ“をひとりでも多くの人に手軽に、できるだけ安く買えるように」という思いが、この商売に行き着いた要因だという。

「もちろん、売り方もあらゆる方法を検証してきました。決算方法にしても、セルフレジや自動販売機も検討しましたが、伝説の餃子を扱う方法としては軽すぎる。そこで思い切って“賽銭箱に1000円札を入れる”というアナログな無人販売に振り切ってみたんです」

店のつくりは至ってシンプル。お客さんが迷わないよう、商品は36個1000円だけ。味のバリエーションはなく、両替機すら置いていない。

お客さんに協力を委ねる部分を残していることで、不思議と信頼関係が生まれているような気分にもなる。

高野内マーケティング部長。手に持っているのは昨年出した広告。児童養護施設へギョーザを届ける活動を行っている。
プレジデントオンライン編集部撮影
高野内マーケティング部長。手に持っているのは昨年出した広告。児童養護施設へギョーザを届ける活動を行っている。

機能性よりも大事にしていること

「弊社の経営戦略として機能性はもちろん大事にしていますが、実はいちばん大事にしているのが、経営効率を多少落としても情緒性を欠かないということです。正直、現金のみのやり取りでは毎日集金の必要があるし、棚卸した数と金額を合わせる手間が掛かります」

確かに、効率や利益を追求すれば他のやり方がたくさんあるだろう。

「会社にはフランチャイズの問い合わせや、スーパーなどに卸してくれというご要望もずっといただいています」だけど、われわれは80年愛され続けた大事なギョーザを預かっている。僕らはこの秘伝のギョーザ一品で勝負していきたい。製造から最後のお客さんが手に取ってくれるところまでこだわり抜いて自分たちでやり切りたい。そうした“お客さんの心に触れる”ということを大事にしていきたいと思っています」

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