承認欲求が満たされると、やる気は増大する
最初に挙げた「期待されているという実感」とは何か。
誰に割り振ってもいい仕事だけど、たまたま君がいたから君にやってもらおう――そんな仕事には、今ひとつ気合いが入りませんよね。
どちらかといえば、君以外では駄目だから頼むんだ、といったシチュエーションでないと腕まくりをする気になれない。
承認欲求が満たされることとペアになると、やる気や集中力は増大します。
仕事のどこに価値や意味を見出すことができるか
では「集中して頑張るだけの価値があるという実感」とはどのようなことでしょう。
たとえば流れ作業で、ベルトコンベア上の小さなケーキに苺をひとつずつ乗せるという仕事をするとしましょう。次々に苺を乗せるだけといえばまさにその通りですが、実は乗せる位置がちょっとずれると商品にならない。微妙に苺が傾いていたりしても、ショーケースに並べてみると「みっともない」ということになりかねない。
つまり苺をケーキに乗せる作業はあたかも単純作業だが、本当は結構奥が深い。少なくとも集中力が必要だし、おそらくケーキに対する「愛」も必要に違いない。
というわけで、流れ作業のつまらない仕事と思うか、それとも意外にやり甲斐のある大切な仕事と認識するかで集中の度合いが異なってくる。どこに価値や意味を見出すかが、集中力発揮の前提となるわけです。
負け戦に集中することは難しい
三番目の「やり遂げられそうだという実感」はどうでしょう。明らかに無理だと分かっていれば、そんな負け戦に集中するのは困難です。力が抜けてしまい、気もそぞろになってしまう。
それなりの勝算、期限内に求められる質を実現できそうな感触があってこそ、気合いを入れて集中が可能になるのではないでしょうか。
結局、自分なりの自信を裏付けとして、初めてミッションに集中ができるという次第です。
ある程度の歯応えが必要
最後の「適度のストレスや困難状況」について。ゲームやパズルだって、あんまり簡単だったら面白くない。飽きてしまうし集中以前の話でしょう。
それなりの難しさ(歯応え)、差し迫った期限、内容に込められた重大さなどがあったほうが、アドレナリンが分泌される。やる気というか闘争心が湧き、集中力も圧倒的に高まる。
理想的な環境や状況よりは、ある程度の困難さを伴ったほうが(ストレス状況)わたしたちは目の前の作業に集中できる。