仕事に集中できないときはどうすればいいのか。精神科医の春日武彦さんは「『仕事をやらされている』というような被害者意識を持ってはいけない。どうしても気が進まない時は、自分をゴルゴ13だと思い込み、感情を持たず淡々と仕事をこなすのがいい」という――。
※本稿は、春日武彦『こころの違和感 診察室』(河出新書)の一部を再編集したものです。
「集中すること」と「無我夢中になること」の違い
集中することと、無我夢中になることでは、どのように意味が違うのでしょうか。
どちらも目の前の行為に没入する点では変わらない。もはや周囲の出来事なんか意識の外に閉め出されてしまう点でも同じです。
ただし「無我夢中」には喜びや快感が伴う。いっぽう「集中する」はもっとニュートラルな印象がある。作業や振る舞いに専念し、真剣に取り組むといったところでしょうか。
集中すべき仕事において無我夢中になってしまうと、もしかするとバランスを崩しかねない。仕事の質に濃淡が生じてしまいそうだ。「無我夢中」には、結果を問わないといった無責任なトーンがあるのかもしれません。
集中力を高める4つの条件
集中できるためには、無我夢中とまでにはならなくとも、相応の手応えや充実感が必要となりそうです。
それらを得るためにはどんな条件が必要か。思いつくものを挙げてみましょう。
①期待されているという実感。
②集中して頑張るだけの価値があるという実感。
③やり遂げられそうだという実感。
④適度のストレスや困難状況。