政権を維持させる「岩盤支持層」の存在
今の韓国社会には大雑把に言って、自らを保守派と見なす人たちが3割、同じように進歩派と見なす人たちが3割、そしてそのどちらでもないとする人々が3割程度、各々存在する。この割合は、大統領や与党の支持率よりも遥かに安定しており、当然ながら、保守派の人々は保守派の大統領や政党を、そして進歩派の人々は進歩派の大統領や政党を支持するようになる。
だからこそ、今日の韓国の大統領や与党の支持率は、イデオロギー的性向を同じくする人々の支持に支えられ、低下する場合にも一定の所で下げ止まることになる。韓国では朴槿恵政権以降、このような大統領や与党の強固な支持基盤を「岩盤支持層」と呼んでいる。
そしてそのことは、逆に大統領が与党や自勢力の取りまとめさえ上手く行えば、その支持率を任期の終わり近くまで維持できる可能性があることを意味している。
自民党政権も「国民の分断」に支えられている
そしてこのような現象は、実は今日の世界の多くの国において見ることができる。その1つの例は、他ならぬ日本である。
かつては日本でも、大きな政治的スキャンダルなどが起こると、内閣の支持率は大きく低下した。例えば、消費税の導入問題を巡って非難を浴びた竹下登内閣の支持率は、共同通信調べで1989年3月に3.9%の最低値を記録している。
しかし、今日の日本の政権支持率もまた20%台よりも大きく低下することは少なくなっており、それこそが自民党の長期政権を支える1つの要因になっている。ここで言われるのもやはり、社会におけるイデオロギー的分断の進行である。保守派と進歩派、日本的に言えば右派と左派の間の対立が激化することで、両者の支持層が固定化し、激しい対立の一方で、社会的な妥協をすることが難しくなる。
もちろん、その典型はアメリカにおいて見ることができる。激しい批判の中、政権を追われたトランプであったが、主要メディアによる支持率は政権末期になっても30%台以下には下がらなかった。
その意味で、韓国の状況も、このような大きな国際社会のトレンドの一部なのである。