バイヤーの仕事は「銘菓百選」だけではない

――和菓子のバイヤーさんたちは、「銘菓百選」のコーナーのために動かれていると考えていいのですか。

そういうわけではありません。バイヤーの仕事としては、とらやさんを初めとするブランドさんたちとやりとりをして、店頭のショーケースの並べ方、春夏秋冬のどういう商品を置くかといったことなどを、お取引先様とのプロモーションと擦り合わせをして決めていく役割があります。

あと、ギフト商品ですよね。お中元、お歳暮、ブライダルカタログにどういう商品を載せて、どういう形で繁忙期商戦をやっていくか擦り合わせをする。それと、どこのブランドさんもそうですけど、本店留めの商品もたくさんあるし。

「本店でしか売らない商品」の出品交渉もする

――本店留め?

要は、他で出さない、本店だけでしか売らない商品もたくさんある。たとえば、とらやさんは百貨店だと羊羹ばかり出ていますけど、実は上生菓子もやっていて、10種類が2週間でころころ変わるんです。その中から「これ、出してください」といった交渉をします。羊羹のデザインも、あれだけ歴史が長いのですごい数があるんですが、「これを復刻してください」とかお願いをする。

だからバイヤーの仕事は、そういう売り場づくりと、カタログづくりと、「銘菓百選」のプロモーションを季節・歳時記に合わせて2週間おきに変えていく、イベントを組み立てるなどの商品面が1つ。

あとは実際問題、それでどう売り場を回していくか。販売員さんを何人立てるか、レジの配置はどうとか。他には、仕入れの伝票計上など、事務的な部分。それと、プライスカードやビラの作成や、媒体類の掲載についてどうするか。高島屋カードをお持ちのお客様に封入される冊子があるんですけど、今日も昼から、それに何を載せるかミーティングをしていました。まあ、仕事内容はさまざま、多岐にわたります。

撮影=今村拓馬
「銘菓百選」の業務効率化も仕事のひとつだ