高島屋にカリスマバイヤーと呼ばれる男性がいる。1980年生まれのはた主税ちからさんだ。数えきれないほどの和菓子店を訪ね歩き、数えきれないほどの種類の和菓子を毎日食べ続けて15年。そうして得た知識と情報をネット発信し、全国に多くのファンを持つ。その和菓子に対する圧倒的な情熱はどこから来るのか。畑さんに直接問うた――。
高島屋で和菓子バイヤーを務める畑主税さん
撮影=今村拓馬
高島屋で和菓子バイヤーを務める畑主税さん

膨大な情報量のブログとツイッター投稿を続ける

――取材前に畑さんのブログツイッター投稿を全部読んでおこうとしたのですが、それは無謀でした。とてもじゃないが膨大すぎる。しかも、量がすごいだけじゃなく、情報量や表現力などの質も高い。圧倒されました。ネット発信を始められた経緯から教えてください。

高島屋は今、全国に15店舗あるのですが、私が毎日のように各店を回ることは難しい。売り場で直接、販売員さんに商品の話ができればいいのですけれど、そうもいかないので、ブログで写真入りの商品紹介をすることにしたんです。そのリンクをメールに貼って「見てね」と各売り場に伝える。

そうやって、社内のコミュニケーションのツールとして私が勝手に始めたのが、2014年の3月です。そのうち閲覧数が増えてきて、出合った和菓子について広くみなさんに知ってもらおうというブログになっていきました。

ツイッターのほうも同じです。最初は個人アカウントで始めました。で、5年ぐらい前に、当時の上司から「公式化したら?」と言われて、今の「髙島屋 和菓子バイヤー公式」アカウントになりました。インスタフェイスブックも同様ですね。

食べた和菓子の数は1万種類を超える

――ツイッターは1日に10本以上あげてられることも多いですよね。それでなくてもお忙しそうなのに、どうやって時間を作られているんですか。

たいてい食事休憩中か移動中に書いています。和菓子屋さんを訪ねて日本中を駆け回っているわけですが、移動手段は基本的に公共交通機関。特に地方へ行くと移動時間が長くて手持ち無沙汰になるじゃないですか。そのときに、パパパッと写真付きのツイートをしています。

――ご著書の『ニッポン全国 和菓子の食べある記』には「実際に訪れた全国の和菓子店は1000軒以上」とありますが、2017年11月刊行の本ですから、それから4年以上経っています。今では1500軒ぐらいいっているのでは?

正確に数えたことはなくて、わからないんです。でも、1500軒は余裕でいっていると思う。本で「食べた和菓子は10000種類以上」としましたが、それも正直よくわかりません。ブログでは1記事に平均3種類の和菓子を紹介しているとして、今、2800回ぐらいですから計8000種類にはなるでしょう。ただ、そこに出さなかったお菓子もいっぱいあるので、軽く1万は超えちゃうんですよ。