ユニ・チャーム、花王ら大手メーカーの追撃
当社が重視する「小さな池の大きな魚」戦略は、トップシェアを取ることで高い利益率を得ることを前提とするものですが、だからといって、100パーセントのシェアを目指すわけではありません。
そもそも、どんなに優れた商品でも、たいていはすぐに新たに参入する会社が出てきますから、競争は常に存在します。
私の理想は、どのカテゴリーでも、6~7割のシェアを小林製薬のブランドが占める状態になることです。ブルーレットブランドはその理想を実現している最たる例です。
数社の勢いある会社が競合し合う市場は、お客さまにとっても、魅力あるものになります。結果として市場全体を拡大させ、当社の商品寿命を延ばすことにもなるのです。ただ、国内市場だけでも大きく成長する可能性が見えると、大手メーカー各社の参入が必定となります。
生理用品を長年つくり、ノウハウを蓄積してきたメーカーからすれば、「おりものシートだと? 小林に負けていられるか」となるのはごく自然なことでしょう。実際に、ユニ・チャーム、花王、P&Gといった日本でお馴染みのメーカーが「パンティライナー」というカテゴリーでの新商品の開発・販売を進めたのです。
薄さにこだわった新商品ではうまく挽回できず
そして、当社のサラサーティは、とうとうナンバーワンの座を追い落とされるという苦境に立たされることになりました。5年後にこの市場規模は約60億円にまで拡大するのですが、サラサーティブランドは、3分の1のシェアをキープするのがやっとという状態になったのです。
大手の追撃にさらされた約5年間は、開発グループにとって大きな試練のときでした。まず、「サラサーティ0.8」という0.8ミリメートルの「薄さ」にこだわった新商品で挽回をはかりましたが、売上はなかなか伸びず、当社全体の中では、コマーシャルをかける広告費用を捻出することさえできない状況でした。
「薄さ」というコンセプトだけではどうもシェアを奪還できそうにない。そうしたプレッシャーと苦労の連続のなかで、やがて「肌へのやさしさ」を実現する「コットン」素材に開発グループは着眼しました。