「エクセレントで伝わるか」を突き詰めた商品名会議

新たなプロジェクトチームがつくられ、「究極のおりものシート」開発が急ピッチで進むことになり、でき上がったのは、当時ではナプキンを含めても存在しなかったコットン素材を100パーセント表面素材に使用するというものでした。「下着と同じような肌触り」を提供する。「そこ」に活路を見いだそうとしたのです。

そしてそうした背景をそのままネーミングに活かした「サラサーティ・エクセレント」という商品名の決定が終盤の重要な会議の議題となりました。(以下、Kは当時社長だった私、Mはプロジェクト担当社員)

【K】「サラサーティ・エクセレントっていうが、何がエクセレントなのか?」

【M】「肌触りはもちろんですが、モニター結果から、吸水性やズレ・ヨレに関しても高評価で、そうしたベネフィットにおいて、ワンランク上であることを表現したのですが……」

【K】「それで、本当にお客さまはわかるのか? 自己満足ではないのか。製品のよさが伝わっていないのではないか」

【M】「いえいえ。例えばインスタントコーヒーの中には、上位商品にプレジデントやエクセレントとつけている例もあります」

【K】「そのブランドがいいかどうかは別として、私は、この製品の何がいいのか、どう優れているのかがわからないのではないかと言っているんだ!」

【M】「……」

【K】「大事なのはコンセプトだ。コンセプトを考え抜いたか! 聞いている限りだと、肌触りのよいコットンのシートだから、お客さまもお金を出してくれると思って、開発したのだろう?」

【M】「……。わかりました」

私の激しい要求に、社員であるマーケッターは、何がわかったのかさえわからないような状態だったそうです。けれども、当時の窮地から抜け出してもらうには、「追い込む」ことが必要でした。追い込まれるほうはもちろん必死になりますが、追い込むほうも必死なのです。

生活者の言葉から商品コンセプトを引き出す

この後、プロジェクトチームのみんなが努力を重ねるあいだ、私の頭の奥のほうには、「サラサーティ・エクセレント」という仮の名の残像がこびりついていました。「あんなに厳しく言ったが、彼らの意見に理はないのだろうか」と、いつものように、自らに問い直したこともありました。

そうしたなかで、アンケートはがきのフリーアンサーや、社内の女性のモニター結果の自由意見から、「これでないとかぶれる、これならかぶれなくてよい」という意見が見いだされた旨の報告が、私にありました。