根深くて、簡単に譲れない「中国のやり方」

【佐藤】だから中国をWTOに入れてしまいました。

【橋爪】でも中国は、西側のルールに乗ってこない。中国に対する研究不足だった。

中国以外の旧植民地は、大きな問題を起こさなかった。インドはイギリス法を採り入れている。東南アジアも、西側のルールを尊重する。これからも問題を起こさないだろう。たまに独裁政権が出てくるくらいです。

橋爪大三郎・佐藤優『世界史の分岐点 激変する新世界秩序の読み方』(SB新書)

でも中国には、中国のやり方がある。それは根深くて、簡単に譲れない。

中国は、中国共産党の政権のまま。中国共産党は中国の広汎な人民を代表すると主張している。これは、共産党の定義の変更です。階級闘争がないということですから。

【佐藤】1960年代初頭に旧ソ連で唱えられた「全人民の国家論」とよく似ていますね。共産主義社会の建設により、階級間矛盾のない無階級社会を確立するという、ブレジネフ時代の国家ビジョンの基礎を成す思想です。

【橋爪】そして、ナショナリズムになりおおせた。資本主義経済を実行し、近代化を進める政治勢力に転換しおおせたんですね。ですから、中国共産党の支配基盤は磐石で、これを崩すのは容易でない。こんなことになるとは、アメリカも予想外だったと思います。

ということで、中国という新しい極がもうひとつ存在している。アメリカも日本もヨーロッパも、そのお手伝いをしたわけです。ネコがトラになった。トラになってからあわてても遅いのです。

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