「そうですね。現在のところ、お子様よりも大人の方が真剣に取り組んでいらっしゃるようです」

料金は30分で4500円、60分で8000円。VR付きは30分5500円。決して安くはないが、ポルシェの現役市販車や歴代レーシングカーを操っている気分で有名サーキットを走れるとなると、ポルシェファンは財布の紐を緩めてしまいそうだ。

新発想のプロモーション手法でファンは増えるか

さらに併設されているレストラン『レストラン906』では、

「ベルギー生まれでヨーロッパやカリブを中心に修行をし、来日後はグランドハイアット東京のフレンチキッチンで8年間勤務、さらに東京オリンピックではキッチンマネジメントを行った経験を持つシェフが、インターナショナルなフュージョン料理を提供しています。メニューには一部、木更津を産地とした食材も使っているんですよ」

写真提供=ポルシェジャパン
レストランでは、ベルギー生まれのシェフがインターナショナルなフュージョン料理を提供している

運転前後の腹ごしらえ、といったレベルをはるかに超えたダイニングなのである。もちろん、もう少しカジュアルでリーズナブルに軽食を楽しみたければ、『956カフェ』でハムチーズパニーニ(1045円)やベーカリー盛り合わせ(880円)などを注文することも可能だ。

そしてオフィシャルミュージアムショップでは、ミニカーやキーホルダーからウエア、時計に至るまで、さまざまなポルシェ公認グッズを販売している。現時点でのベストセラーは、『956カフェ』でも使用しているポルシェの紋章入りマグカップとのこと。つまりPEC東京は、家族で訪れても一日楽しめるアミューズメント施設でもあるのだ。

そんな場所だから、オープンしてしばらくの『ドライビングエクスペリエンス』は予約困難となる大盛況。ここへ来てようやく、日を選べばお目当てのモデルを押さえることもできるようになっているという。

「開業当初はかなりの人気で、平日でも予約をたくさんいただいておりましたが、現在は落ち着いてきておりますので、平日プログラムは比較的余裕があります」

新発想のブランドプロモーション手法であるPEC東京で、もくろみ通りポルシェのファンを増やすことはできるのか。今後の展開が注目される。

写真提供=ポルシェジャパン
木更津・伊豆島地区の地形とそのままの自然を生かしてコース設計した結果、世界中のPECの中で唯一、立体構造を持つトラックを実現できた
関連記事
東京随一の"セレブ通り"を走る富裕層が「テスラやレクサス」を選ばないワケ
「1ドルの古着を25ドルで売る」その日暮らしから"世界一のポルシェコレクター"になった方法
名車「クラウン」があっという間に売れなくなった本当の理由
世界一のポルシェコレクターがピカピカの新車よりも「傷物の改造車」を愛するワケ
「トヨタこそ正しいと主張すべき」EV30車種投入の衝撃会見で語られなかった"本当の世界戦略"