目的はポルシェのファンを増やすこと
PEC東京を利用するのに、ポルシェオーナーである必要はない。21歳以上の運転免許保持者であれば、会員登録の後に希望の日時を予約し、料金を支払えば誰でもOK。ポルシェの持ち主だけに限定した閉鎖的な空間ではなく、幅広い層の人々に開かれているところが大きな特徴だ。
「そのようにした一番の目的は、ポルシェのファンを増やすことにあります。ポルシェはどなたにでも受け入れていただける社会適合性の高いブランドですから、先ほどお伝えした『感動体験』『製品体験』『ブランド体験』をお客様に提供することで、より深くポルシェというブランドについて知っていただけると考えています」
ではなぜ今まで、日本にPECがなかったのか。
言い換えれば、日本でどのような条件がそろったため、総工費50億円を投じての今回のオープンに至ったのだろう。
「ポルシェジャパンは輸入元会社であり、直接の車両販売は全国の各ポルシェセンターが行っています。そのため日本のマーケットやお客様に、われわれから還元する機会がありませんでした。そこで約3年前、ポルシェジャパン経営陣が何か新しいことをしたいと着想した際、当時モータースポーツマネージャーだった私が提案したPECを日本に設置するアイデアが採用され、現実的に動き出したというわけです」
なぜポルシェが木更津を選んだのか
既存のPECを設立順に挙げると、シルバーストーン(イギリス・2008年)、②ルマン(フランス・2015年)、③ライプツィヒ(ドイツ・2015年)、④アトランタ(アメリカ・2015年)、⑤ロサンゼルス(アメリカ・2016年)、⑥上海(中国・2018年)、⑦ホッケンハイム(ドイツ・2019年)、⑧フランチャコルタ(イタリア・2021年)。
PEC東京がアジアでは初の設立、とならなかったのが少々悔しいところだが、ある国にPECが設立されるには、その国でのポルシェ車の年間販売台数、クルマ文化の成熟度といった、ポルシェ本社が設けた基準のようなものがあるのだろうか。
「特に基準はありませんが、PECはポルシェ本社から与えられるプロジェクトではなく、現地法人からのボトムアップとなります。もちろんその際、本社によってその国での年間販売台数やポルシェ保有台数等は勘案されますが」