若葉マークも、ペーパードライバーも

そのような要素を持ったコースを安全に走行しつつ、攻略のテクニックも指南するとなると、教える側には相当な力量、素養が要求される。

「インストラクターはPECの中心的存在ですから、ドライビングスキルはもちろん、お客様へのコーチング能力、ポルシェに関する知識、セーフティや緊急時の対応等、さまざまな技能が必要です。このためポルシェには全世界共通のPorsche Instructor Excellence Programという資格試験があり、PECのインストラクターはこのテストに合格することが必要となります」

『ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京』敷地内
写真提供=ポルシェジャパン
レッスン用のポルシェ車の整備風景を見られるワークショップも併設されている

前述のようにPEC東京のドライビングプログラムは、21歳以上の運転免許保持者でなければ受講できない。ではその条件さえ満たせば、若葉マークのビギナーやペーパードライバーでも参加できるのか。

「もちろんです。お客様の運転スキルに合わせて、インストラクターが丁寧にレクチャーいたします」

インストラクターによる90分間のマンツーマンレッスン『ドライビングエクスぺリエンス』は選択車種によって料金が異なり、現時点で下は『マカン』(ベース車両の市販価格:754万円)の4万4000円から、上は『911ターボ』(同:2500万円)の10万4500円まで。新しいモデルも順次加わっていき、2022年1月からはほぼレース専用車といえる『911 GT3』も導入される予定だ。

『ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京』敷地内
写真提供=ポルシェジャパン
ポルシェの定める世界共通の資格試験に合格した精鋭インストラクターが同乗し、マンツーマンで手ほどきをしてくれる

子供より、大人がハマる

またPEC東京には、ドライビングシミュレーターのコーナーもある。

設置されているのはゲームセンターでよく見る遊戯用ではなく、レーシングドライバーが実走前のコース戦略トレーニングに活用しているプロ仕様。

ドライビングシミュレーター
写真提供=ポルシェジャパン
プロのレーシングドライバーが使う本格的なドライビングシミュレーターも楽しめる

バーチャルながらニュルブルクリンク、ラグナセカ、デイトナ、ル・マン、モナコ、モンツァ、シルバーストーンといった著名サーキットを走れるばかりか、自分が操る車を911カレラや911GT3、ケイマンGT4、カイエンなど現行の市販車だけでなく、908LH(1968年)、917K(1969年)、911カレラRSR 3.0(1974年)、935モビーディック(1978年)、962C(1985年)、911GT1(1998年)といった往年のポルシェの名レーシングカーの中からも選べる。

これらのマシンは外見だけでなく、レーシングカーも含めてエンジンン出力や駆動方式、ハンドリングといった特性をも忠実に再現していて、本物に限りなく近いリアルな挙動を味わえるというから驚きだ。

シミュレーターの利用にはもちろん運転免許など必要なく、身長130cm以上であれば年齢制限なく誰でも利用できるから、お父さんに連れられてきた子供も、実車をコースで走らせている親以上に興奮できるかもしれない。もちろん、大の大人も。