トップ選手が続々とアシックスに履き替えている
ビジュアルも特徴的なMETASPEEDは今秋、トップ選手の足元を飾っている。11月の全日本大学駅伝では1区で区間賞を獲得した駒澤大・佐藤条二と優勝ゴールに飛び込んだ同大・花尾恭輔がアシックスを着用。10月の箱根駅伝予選会でも2年連続通過を決めた専大の選手12人中5人がMETASPEED Skyを履いていたのだ。
2月のびわ湖毎日マラソンでナイキ厚底シューズを着用して日本歴代6位の2時間6分35秒をマークした細谷恭平(黒崎藩磨)もアシックスに履き替えている。そして12月5日の福岡国際マラソンで2時間8分16秒をマークして日本人トップ(2位)で、MGC出場権獲得第一号になった。細谷は学生時代にアシックスを履いており、ナイキからもとのメーカーに戻ったかたちだ。好結果を出したシューズではなく、新たなモデルを選んだのは、それだけMETASPEEDに“可能性”を感じたからだろう。
シェア的にはナイキが圧倒的だが、2021年の箱根駅伝で着用者が0人だったアシックスが反撃体制に入ったといえる。
さらに今年7月に発売された長距離用のピンなしスパイク『METASPEED LD 0』も注目を浴びている。同モデルを着用していた太田智樹(トヨタ自動車)が11月27日の八王子ロングディスタンス10000mで日本歴代7位となる27分33秒13をマーク。ナイキ勢が大半を占めるなか、日本歴代上位に割って入ったのだ。
アシックスのシューズを長年愛用してきた日本人選手は多い。グローバル規格のナイキと国内メーカーのアシックスではサイズ感が異なる。そのため足に合わないと感じながらも厚底シューズを履かないと戦えないという理由でナイキを選んでいた選手もいた。今後はアシックスがナイキに奪われたパイを取り戻していくのではないだろうか。
「個別選手に関する詳細はお答えできませんが、全日本大学駅伝や福岡国際マラソンで上位選手が着用していたことは承知しています。選手にご好評いただいて着用いただけたものだと感じております。社長直轄プロジェクト(C-Project)は今後も箱根駅伝だけではなく、オリンピック、世界陸上、ワールドマラソンメジャーズのような世界トップの大会で着用いただけることを目指しつつ、シェア挽回に取り組んでいきます」
2022年の箱根駅伝ではアシックスのシューズを履いた選手たちがどんな活躍を見せるのか。国内メーカーの逆襲で、シューズをめぐる戦いは新たなフェーズに入ったようだ。