政治に関心のない若者層が投票するほど、自民党が有利になる

全年齢の無党派では自民党33%ほど、立憲38%ほどですが(※1)、生活保守の考え方が強く、政治に関心のないおおむね現状に満足している若者層は、投票所に行くほど自民党が有利になってしまうという構造があります。

それもこれも、アベノミクスを標榜して若者に「安いけど仕事はある」という状態までもっていった元総理・安倍晋三さんの経済政策の功績とも言えるのですが、生活保守を考える有権者にとって立憲民主党が打ち出す経済政策が本当に自公岸田文雄政権より良いものになるかは未知数です。

いずれにせよ、野党共闘に効果があったとは言えども無党派層をこれ以上取り込んで票を上積みして躍進することは困難で、また第三勢力としての維新が立憲共産に入れてくれると期待された無党派層を見事に蚕食したのは紛れもない事実です。

そして述べた通り、立憲民主党も共産党も、浮動票頼みではなく「立憲に投票したい」「共産党を支持している」と党を名指す支持層がどれだけ増えるのかを考えていかなければならないフェイズに差し掛かったと言えます。

(※1)当記事の「わからない・無回答」を無党派層としている

具体的な政策実現に舵を切った全トヨタ労連

2021年衆議院選挙では野党共闘が一定の成果を出し、立憲民主党や共産党にとっては党勢回復の足掛かりを得たようにも見えますが、現場で見ていて一番不安に感じるのは「この連携は来年夏の参院選、ひいては憲法改正国民投票が行われる場合、効果が限定的なものになるのではないか」と思われる点です。

今回、愛知で全トヨタ労連が属する連合の組織内議員であった無所属で立憲に近い古本伸一郎さんが立候補を急遽取りやめ、これから産業界を大きく塗り替える恐れのある世界的な脱炭素経済(カーボンニュートラル)への動きへの対応を行うには与野党対立ではなく具体的な政策実現が必要という考えから、自民党、公明党、維新などいままで対決姿勢を取っていた政党との連携も視野に入れる流れになってきました。

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立憲民主党や国民民主党を支える連合も一枚岩ではなく、共産党との連携・共闘に理解を示す労働組合も一部でありつつ、この全トヨタ労連の動きに呼応する大規模労組の動きが謙虚になってきました。

具体的な政策で言えば、この冬のエネルギー供給で原子力発電所の再稼働に反対の論陣を張る共産党や一部の立憲民主党議員については今後の支援を行わないと決定する労組も出てくるであろうと予想されます。