英国の店舗数では最大の規模を誇るスーパー大手、テスコ(Tesco)は運転手不足問題が起きるや否や、政府に対し「この問題に対応しない限り、クリスマスまでにパニックのような買い占めが起こる」と警告した。

ようやく再開するサービス業や旅行業に打撃

ただ、物価は確実に上昇している。

運転手不足が顕在化して以降、インフレ率統計はまだ発表されていないが、コロナ禍からの経済復活もあり、9月から10月にかけて、数値的には想像以上の物価上昇が起きた可能性がある。特にガソリン代そのものが上がっており、これが物価全体を押し上げる結果につながると予想されており、第4四半期(10~12月)には前年同期と比べ4%増。さらに遠くない時期に5%に達するとの見方さえ生まれている。

目下のところ、コロナ禍から完全に脱していない英国が、ブレグジットによるEUからの完全離脱をしてから、経済フル回転の状況には一度も達していない格好となっている。英国のもう一つの産業の軸であるサービス業、ことに旅行業界や飲食業界が本格的に動くとなると、これらもEUからの若年層出稼ぎ者に支えられていたところが多い。今回の石油不足問題のように、英国のサービス業界が極端な人手不足に苛まれる懸念も予想できよう。

むやみに移民に頼っては、そもそものブレグジットの意味が損われる。英政府は引き続き難しい舵取りが求められそうだ。

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