ワクチン後に以下の症状があれば、専門機関に相談を

心筋炎の初期症状は、「発熱」「胸や背中の痛み」「全身の倦怠感」などであり、悩ましいことに「一般的なワクチン副反応(※)」との区別が困難である。しかしながら、コロナワクチン接種後に以下のような症状が見られた場合には、心筋炎・心膜炎を疑って専門機関に相談すべきだろう。

※コロナワクチン後によくある発熱や倦怠感など、多くは48時間以内に自然に軽快する症状。ワクチン後の心筋炎も副反応のひとつだが、稀に対応を誤ると命にかかわる事態になることがある。

1:接種後2日目以降に体調が悪化

一般的なコロナワクチン副反応は接種当日夜から翌日をピークに軽快することが多い。2日目以降に「だんだん体が重くなる」「胸が痛くなってきた」など体調が悪化していく場合は、副反応以外の病気を疑うサインのひとつである。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/cako74)
2:安静にしても心拍数が多い

心筋炎で心臓の拍出力が弱ってくると、生体バランスが働き、心拍数が上がることが多い。普段の心拍数を把握しておき、2割以上高い場合は要注意である。

3:むくみ、静脈がくっきり見える

心不全では心臓のポンプ機能が低下するので、静脈に血液がたまりやすくなり、顔や足がむくんだり、手足やくびの血管がくっきり見えたりすることが多い。履きなれた靴がスルッと入らないこともある。良くないサインのひとつである。

4:階段を上れない、転倒、失禁

健康な成人なら発熱時でも「コンビニで買い物」くらいは可能である。しかし、心不全が絡むと「階段を上れない」「トイレに行くだけで倒れる」「尿失禁」のように活動レベルが著しく低下することが多い。こういう症状があれば病院受診が勧められる。

5:ピンク色の水っぽいたん

一般的な咳だと、痰は黄緑っぽいことが多い。だが、心不全の痰は「肺に水がたまる(肺水腫)」ことによる痰なので、ピンク色の水っぽい痰となる。病院受診すべきサインである。

6:脈がとぶ(不整脈)

心筋炎・心膜炎や心不全が進行すると、不整脈が出現することがある。1~5に加えて不整脈が出現したら、救急車をコールしてでも病院受診すべき緊急事態である。

1~3のうち複数、あるいは4~6が単独でも症状が確認できたら、ワクチン副反応相談センターへの電話相談、もしくは病院受診が勧められる。

病院を受診する場合は、ワクチン接種を受けた施設には固執せず、循環器内科があり心臓超音波検査(心エコー図検査)の可能な施設がおすすめである。胸にゼリーを塗って、超音波で心臓の動きを確認する検査であり、痛みや食事制限もない。受診前に電話などで確認しておきたい。

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