「税金で生活している人に生き方の自由はない」という発想は危険
同様のプレッシャーは、国民から何かの拍子で関心を持たれたり、社会的関心事の的となったすべての人に及ぶことになる。例えばオリンピック選手や芸能人、犯罪被害者として報道された人にまでそうしたプレッシャーは及ぶ。
皇室をたたくことが正義なら、世論という名の凶器が多くの人にも波及することになるだろう。
さらに、眞子さまは国民の税金を使っての儀式や一時金支給を辞退されたが、税金を使っての結婚であるから批判して良いという発想も危険である。
状況は全く異なるが、世論状況は生活保護バッシングと酷似している。
生活保護を受けている人の私生活にみだりに立ち入り、その一挙手一投足を批判し、日々の過ごし方を非難して、生き方を責める現象にうり二つだ。
確かに皇室の在り方や予算の使い道について議論があってしかるべきだろう。しかし、税金の恩恵を被って生活している人間には生き方の自由など認められない、国民世論の言う通りの生き方をすべきだ、という発想は非常に危険である。
さらに問題となった「金銭トラブル」は小室さん本人ではなく、母親の問題である。親と子は、仮に同居していても独立した人格であり、親の不始末を理由に子を社会が非難したり、結婚の自由を否定するという発想も恐ろしい。
こうした常軌を逸した批判は必ず自分にもいつか跳ね返ってくる。自分たちの首を絞め、自分たちの自由をも奪うことになる。そのことを認識した方がいいのではないか。
誹謗中傷は終わりにしなければならない
人生の門出、本来祝福されるべき結婚にあたって、大音量の誹謗中傷で人格を否定され続けなければならない眞子さまと小室さんの心境、精神状態はいったいいかなるものであろうか。
眞子さまは複雑性PTSDを発症されたと報道されている。
20代の若者に対し、社会全体が洪水のような誹謗中傷、人格攻撃を続ければ、それは深刻な心身のダメージを引き起こすことを私たち社会は過去の犠牲から経験しているはずだ。
昨年はプロレスラーの木村花さんが、SNS上の誹謗中傷を苦にして尊い命を自ら断った。誹謗中傷が若い人をどれだけ傷つけ、深刻な犠牲を生むのか、この社会は身をもって経験し、反省したのではなかったのだろうか。
このような誹謗中傷は終わりにしなければならない。
メディアは、バッシングを誘発する過熱報道の姿勢を猛省し、お二人の結婚に向け、人権に配慮した報道姿勢に改めるべきだ。そして今回の一連の騒動を総括し、二度と誹謗中傷をあおるような報道姿勢を繰り返さないことが求められる。
また、誹謗中傷を続ける人たちにもわれに返ってもらいたい。
あなたたちは何のためにそんなことをしているのか、目を覚ましてほしい。
眞子さまと小室さんはニューヨークで新生活を始められるという。
それがうまくいくのか案じる声もあるが、二人がニューヨークで成功しようが、失敗しようが、それが人生だ。まずは自分で決めた人生を自分の足で歩むということそのものがかけがえのないことであり、祝福されるべきだ。
眞子さまが去った後の日本社会の方が私には心配である。