「おじさん構文が気持ち悪い」ことは問題の本質ではない
ネット上で、はんつ遠藤氏の文章がおじさん構文で気持ち悪いという着地点に落ち着いているが、なにか重要な事を見過ごしていないだろうか。
そう、梅澤氏が訴えていた「ハラスメント」の問題が、一連の流れの中でネタとして消費されるうちに、いつの間にかセンターポジションから外されて有耶無耶になってしまっているのである。
今回の問題の本質は、フードジャーナリストがこれまで培ってきた地位や権力を利用して、私的な写真を撮影するというセクハラを行ったこと。そして真偽不明な情報を他のフード系の職業の人たちに流すことで、梅澤氏に対して不利益を与えようとしたことである。
これは決して「はんつ遠藤氏の行為や文章が気持ち悪い」などという話で済む問題ではない。
さまざまな媒体で仕事をしている、ラーメン評論家やフードジャーナリストを含むライターと、数店の飲食店を経営する経営者という、力関係の差から生じている、まさにハラスメントの問題なのである。
ラーメン専門店という激しい競争の中で、雑誌などの媒体を持つライターに嫌われ、仲間内で怪しい情報を流されることは、店の存続に関わると言ってもいい。
今回の件とは関係ないが、ネタツイートやネタ動画をツイッター上に上げているラーメン珍道中がツイートした、ラーメンYouTuber・SUSURU氏のモノマネ動画の「俺の動画次第でこの店潰す事だってできるんだぞって事で……」という本物のSUSURU氏が決して言わないようなセリフも、現実として単なる冗談とは言えないのである。
問題の本質は「セクハラ」であるにもかかわらず…
はんつ遠藤氏はブログの中で、取材を受けたテレビや雑誌に対し、こう主張している。
その時、気づいたのが、結局、週刊誌に載せるにしても、編集者さんのバイアスがかかり、僕は単に不思議だな? という話を言いたいだけなのに、
たぶん週刊誌は売上UPのために「フードジャーナリスト徹底反論!!」とかなんとか、ぜんぜんそんな事を思ってないのに、あおる見出しをつけちゃったりなんかしちゃったりするので、やっぱ、信用できない 笑
僕は「やっぱりなんか違う。そこじゃないんだよなー」という部分こそが、この問題の本質であると考える。
はんつ遠藤氏は「セクハラとか、そんなに重い話じゃないんだよ、写真もあくまでもネタだし」と言いたいのだろう。しかし問題は「そこ=セクハラ」なので、メディアが「セクハラ」の話を中心に伝えるのは当然のことである。
だからこそ、はんつ遠藤氏は梅澤氏の主張に真っ向から答える(はんつ遠藤氏が言う「手を上げる」)のではなく、ネット上で「おじさん構文」と呼ばれた、茶化したような文体で返し、メディアにこれを参照してほしいと主張した。
つまり、あのような砕けた文章を書くことで、今回の一件を「セクハラという深刻な問題」から「酒でやらかし、人妻シリーズとかいうしょうもないネタをFacebookに投稿するような男の面白話」に変化させようとしているのである。