朝鮮戦争が終結すれば、国連軍地位協定も消滅する

時には積極的に公表し、時には件数さえ非公表。国民への説明責任は「ご都合主義」でいいはずがない。すでに終わった基地利用の実績については、利用目的、国籍などを公表するべきではないだろうか。

取材の結果、国連軍として在日米軍基地を利用するのは、①北朝鮮関連の警戒監視や哨戒活動の拠点にする、②燃料などの補給を受けるためとほぼ判明した。この程度の内容まで非公表とする政府の姿勢はどうかしている。

2018年、朝鮮戦争の終結を目指した米朝首脳会談が開かれた。その後、停滞しているが、終結した場合、国内7カ所の国連軍基地はどうなるのだろうか。

国連軍地位協定24条は「すべての国連軍が朝鮮から撤退していなければならない日の後90日以内に日本から撤退しなければならない」と定めている。同25条は国連地位協定について「日本から撤退しなければならない期日に終了する」とある。

朝鮮戦争が終結すれば、在日米軍基地は国連軍基地としての役割を終え、国連軍地位協定も消滅する。国連軍そのものがなくなるのだから、当然だろう。

日本は米軍にとって天国のような国

ただ、世界トップの実力を持つ米軍と自衛隊がそろう日本で、共同訓練を希望する他国軍は少なくない。国連軍の廃止後に来日する場合、自衛隊基地や民間港・民間空港を利用することになる。

東京都港湾局によると、外国艦船の晴海ふ頭の利用は親善目的であれば、岸壁使用料と入港料は都条例によって免除される。ただし、全国の民間港がすべてタダというわけではない。海上自衛隊も他の民間港では岸壁使用料などを支払っている。

さらに民間企業が運営する曳船(タグボート)を使えば、岸壁使用料とは別に料金が発生する。

国連軍であれば、すべて無料で使えた米軍基地が朝鮮戦争の終結後、使えなくなり、代わりに民間港を使おうとすれば高額の費用負担が必要になる。訪日しようとする他国軍は二の足を踏むのではないだろうか。

ただ、米軍だけは別格だ。日米地位協定に「入港料、着陸料を課されないで日本国の港、飛行場に出入りすることができる」とあり、港湾を管理する自治体が拒否しても入港を強行する場合さえある。日本政府が抗議することはまずない。

実は国連軍地位協定に同様に規定があるものの、日本政府は民間港と民間空港の利用を認めていない。制約を受ける朝鮮国連軍に対し、制約なしの米軍。朝鮮国連軍が消えれば、他国軍の出入国は減り、日本は米軍にとって天国のような国なのだという真相が際立つことになる。

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