中国をにらみ、英国の大艦隊が来日
英海軍史上最大の空母「クイーン・エリザベス」を中心とする空母打撃群が8月から9月にかけて、在日米軍基地や自衛隊基地に寄港した。空母に同行するのは駆逐艦2隻、フリゲート艦2隻、補給艦2隻、潜水艦1隻のほか、米駆逐艦1隻とオランダのフリゲート艦1隻も従え、合計10隻からなる大艦隊だ。
今年5月22日、英国の軍港ポーツマスを出港、訓練を繰り返しながら7カ月半にわたって航海し、日本、韓国、インド、オーストラリアなど約40カ国を訪問する。
出港後、地中海、インド洋、南シナ海を経て、8月に日本近海まで到達。海上自衛隊との訓練を行い、さみだれ式に長崎県の米軍佐世保基地や神奈川県の米軍横須賀基地に入港した。
クイーン・エリザベスは2017年の就役後、今回が初の本格的な航海となる。行き先をインド太平洋としたのは、強大化する中国をにらみ、域内国との間で親密なパートナーシップを築くためだ。
「日英防衛交流の深化につながる」
「自由で開かれたインド太平洋」を掲げる日本政府は、空母打撃群の訪日を歓迎しているが、外国軍の寄港は無条件というわけではない。
入港を希望する外国軍は、予定する寄港地や滞在期間を日本政府に通報し、許可を得る必要がある。友好的なやり取りを通じて、寄港する側に日本を攻撃する意図がないことを伝える仕組みになっている。
クイーン・エリザベスは9月4日から8日まで米軍横須賀基地に入り、米軍から補給などの支援を受けた。外務省によると、寄港を認めた理由は「日英防衛交流の深化につながる」というもの。
本来なら隣接する海上自衛隊側の横須賀基地への入港が筋だが、基準排水量4万5000トン、全長284メートルと横須賀配備された最大級の護衛艦「いずも」よりはるかに大きい。そこで任務航海のため長期間、横須賀基地を不在にしている米空母「ロナルド・レーガン」専用の岸壁を利用した。