D&Iや人権問題は企業の成長と不可分になっている

――アメリカでは#MeTooやBlack Lives Matterといった社会運動が起き、企業に対しても人種や性別に対する差別解消を求める動きが活発になっています。SDGs、ESG投資などの影響もあり、サプライチェーンの人権問題も問題視され、より企業の社会的責任を問う声も大きくなっています。山田さんはこうした企業の社会的責任を巡る変化をどう感じていらっしゃいますか?

【山田】気候変動などもそうですが、社会がこうあるべきだということが先にあり、そこに向かって合わせていくことは、ある一定以上の規模になった企業には当然のことだと思います。メルカリも当初は「勝つためにどうするか」に注力してきました。でも規模が大きくなってきた時に社会的に認められる企業でないと、それ以上の成長は難しい。

もともとメルカリは(不要になったものを誰かに引き継ぐという事業を通して)循環型社会を目指しています。D&Iも人権意識も世の中で求められているものであり、企業の成長と不可分になってきているので、イニシアチブを取っていきたいと思っています。

撮影=西田香織
メルカリは社会的に認められる企業であるべきというCEOの山田進太郎氏

――山田さんが企業の社会的責任について、強く意識されたのは、2017年の現金出品問題がきっかけだったと話されています。

【山田】あの時に、すごいプラットフォーマーがこんなことを許容していると報道されて、自分たちが巨大なものとして見られているという意識を初めて持ちました。生き残りに必死になっているうちに、社会に対してどうあるべきかという意識に欠けてしまっていたので、対応が遅れてしまった。それ以降何か始めるときに、これって社会的にどうなんだっけ? という視点が入るようになりました。

女性が能力を発揮しやすい場所が伝わっていない

――メルカリでも財団でも女性のエンジニアを増やすことを掲げていらっしゃいますが、財団の会見では、テクノロジー分野の女性が増えることで女性の雇用や賃金の安定にもつながることを指摘されていらっしゃいました。

【山田】去年から理系で活躍しているいろいろな女性に話を聞いてきて、これまで気づいていなかった問題も見えてきました。

欧米や新興国では女性にもコンピューターサイエンスが人気です。スタンフォード大でも女性が多い。それはエンジニアが稼げる、フレキシブルに働けるという利点が理解されていることも大きいと思います。

今のメルカリのように、大規模なサービスをみんなで作っていくような仕事では、エンジニアとしての能力だけでなく、仲間とコミュニケーションを取りながら円滑に進めていく能力も求められます。その部分では女性が得意なところもあり、能力を発揮しやすい世界になってきているのです。そうした現実の社会、仕事のリアリティがなかなか教育現場や親には伝わっていないのです。