ジェンダーギャップに対する空気は一気に変わった
――一方で日本のスタートアップ業界はテクノロジー企業が多いということもあって、男性優位で、ジェンダー不平等が大きい業界です。
【山田】スタートアップはこれまでインターネットの世界で、インターネット業界の人たちがやる、わからない人はいいですよという世界でした。でも、スマホの登場でお客様の層が広がり多様になった。作る側にダイバーシティがなければ、多様な人に使ってもらえないということが起きます。
これからのスタートアップは多様なニーズを受け止めて、テクノロジーで解決していくことが求められます。社内が日本人男性だけだと多様なニーズを受け止められない。最近は、スターアップのD&Iに取り組むスタートアップも出てきて、少し前までの365日働かなければ、という空気はだいぶん薄れてきているとも思います。
――今年2月、五輪組織委員会会長だった森喜朗氏が女性差別発言をした後、山田さんはツイッターで「これは私たち日本が育んできた文化・社会でもあります。私としては猛省する」と発言されました。D&Iの重要性、特にジェンダー不平等の解消は長く言われ続けたにもかかわらず、いまだに日本はジェンダーギャップ120位です。山田さんはこの状況をどう見ていらっしゃいますか?
【山田】歴史的、構造的なものが残ってしまっていて、これが現在地だと思います。自分ができなかった部分もあるから、これからできることを企業家としては考えたい。個人としては財団でやれることをやっていきます。
ただ森さんの発言や東京五輪もあって、日本のジェンダーギャップは仕方ないという空気は確実に変わったと感じています。この状態はダメだと空気は一気に変わってきているので、これを機に前進させたいと思っています。
(聞き手・構成=浜田敬子)