家屋の耐震補強や家具の転倒防止、備蓄食糧など、ハード部分の災害対策は数ありますが、心構えとして重要なものは想像力です。

実際、震災に遭われた方々は私も含め「まさか!」と思っておられた方ばかりです。たとえば車椅子の方を見て「気の毒だな」と思うだけなのか、自分の将来としてイメージできるのか。すべての社会的な事象について、自分ならどうするかを常に想像できる能力が大切。そして一番重要なのは、人と人との絆、ネットワークです。

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「生き埋め」を前提に準備している人は少ない

私は震災直後から市民ボランティアネットワーク「がんばろう!!神戸」を結成しましたが、そこで学んだのは「できること」ではなく「できないこと」を声に出す勇気です。震災の混乱の中で「おしめがなくて赤ちゃんのお尻がかぶれる」など、いろんな方々から寄せられた「困っていること」を集めて紹介したら、「そんなことなら」と手を貸してくれる人が必ず現れました。災害時にはピラミッド型の組織ではなく、こうした横関係のプラットホーム型の組織が有効です。

電車で座るときに隣の人に会釈する、ドアを開けてくれるドアマンに「ありがとう」と言う。何気ないコミュニケーションの積み重ねが絆となり、非常時のリスクヘッジとなるのです。

(構成=永浜敬子 撮影=小川 光)
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