相互の良さを掛け合わせてシナジーを生みたい

——グルメ回転すしである海鮮三崎港が持っているノウハウを学びたいという想いがあるのでしょうか。

撮影=加藤慶

具体的にはこれから進んでいくところですが、海鮮三崎港にあってスシローにはない大きな違いが「職人気質」です。海鮮三崎港は人がすしを握るというオペレーション。スシローはどこまでいっても機械が握ったシャリにネタを載せるというオペレーション。ここは大きな違いです。海鮮三崎港の職人気質な部分をスシローに取り入れられないか。あるいはスシローがこれまで培ってきた食材の調達力を海鮮三崎港に取り入れられないか。そうした相互のシナジーが生まれたらいいなと感じています。

スシローに入社して20年、うまいすしにこだわってきた私からすると、どこが仲間になっても無限大の可能性があると考えています。例えば海鮮三崎港の職人さんに、スシローの店長の前で、「その職人さんが考えるすしとは何か」といった話をしてもらうだけでも、モチベーションが全然変わってくると思います。そういったシーンを想像すると、やっぱり楽しみでしかないです。

「個人経営のおすし屋さん」にヒントあり

——堀江社長は以前、「予算などの制約がなければ、銀座の高級すし屋で出している品質のものを低価格で出したい」と発言されています。まさに、すし業界のいいところをどんどん吸収してスシローを進化させていきたいという理念を感じます。

自分の考え方として、「自分がおいしいと思わないものは、絶対売らない」と決めています。だから今でも店舗で提供される新商品たちは、必ず私が最終チェックをやらせてもらっています。

今は社長業ですが、2年前までは仕入れの責任者をやっていましたし、今でも実際に全国各地のおすし屋さんに足を運びます。特に「個人経営のおすし屋さん」にヒントがあります。何が楽しいって、そのお店それぞれに、参考になるものが山のようにある。大体そこの店の大将と会話をすると、何でも平気で教えてくれるんですよ。しかもレシピまで(笑)。

スシローの外からそうしたヒントを持ち帰って商品化することもあるし、食材の調達先を紹介していただいたりすることもあります。銀座の一等地の高級すし屋でもいい。街中にある大衆的なすし屋でもいい。みなさんが持っていらっしゃるものの中で自分が共感できたものを、スシローでも販売してみて、お客さまに喜んでもらえるかを試してみる。スシローの責任者として、常にその視点は大切にしています。

写真提供=スシロー
新商品プレゼンの様子