帰り道にすしを気軽に買ってもらいたい

スシロー店内
撮影=加藤慶

——21年4月に上方鮨のテイクアウトなどを展開する京樽を買収しました。その狙いは何でしょうか。

もともと京樽を買収する前から、スシローはテイクアウトへの取り組みを始めていました。スシローは今や全国に600店舗以上ありますが、そうは言っても、スシローのことを知らない方やスシローのすしをまだ食べたことがない方がいらっしゃる。そういう方たちに、どうやったらスシローのすしを届けられるんだろうと考えました。

そこで、「お客さまの生活動線にスシローを置きにいく」と決めたんです。駅を出たところにテイクアウト専門のスシローの店を出すことで、帰り道にすしを気軽に買ってもらう。そのようなことをやろうとした時に、これもたまたまなんですが、コロナ禍がやってきた。

スシロー To Go JR 我孫子駅店の外観(イメージ)
写真提供=スシロー
スシロー To Go JR我孫子駅店の外観(イメージ)

——これまた偶然のタイミングだったわけですね。

テイクアウトへの取り組み強化とコロナ禍で何が起こったかというと、イートインのお客さまとテイクアウトのお客さまの比率が大きく変わったんです。

都市型店舗であっても郊外型店舗であっても、今までは「お客さまにわざわざ来ていただく」ということで成り立っていました。ところがテイクアウト型店舗だと、「お客さまの生活している導線の中にスシローがある」のです。それをわれわれは「買い物動線」と呼んでいます。買い物動線上にスシローを置けば、わざわざ店舗に足を運ばなくても、すしを食べたい時に「あ、スシローがあるからすしを買って帰ろうかな」となるわけです。

それがコロナ禍のタイミングとたまたま重なったということもあり、テイクアウト型店舗には大きな手ごたえを感じました。京樽の買収は、テイクアウトのノウハウを吸収したいという狙いがありました。

スシローと海鮮三崎港はカテゴリーが違う

——京樽系列には回転すしチェーンの海鮮三崎港もあります。スシローと海鮮三崎港はどちらも回転すしですが、どのように差別化しているのでしょうか。

同じ回転すしでも両者はカテゴリーが違います。われわれスシローは「100円回転すし」というカテゴリーで、海鮮三崎港は「グルメ回転すし」というカテゴリー。ちなみに、もっと上のカテゴリーには「回らないすし屋」がありますよね。

スシローはこれまで「100円回転すしなのにここまでやるのか!」という挑戦をしてきました。その背景には、「グルメ回転すしがやっていることを、うちでもっと安くやろう!」という想いがあったんです。そうすればグルメなお客さまもスシローにやってきてくれる。