回転すし「スシロー」などを展開するFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)の2020年10月~21年3月期の連結決算は、売上高にあたる売上収益が1190億円、営業利益が131億円、純利益が78億円でいずれも過去最高となった。なぜコロナ禍でも絶好調なのか。あきんどスシローの堀江陽社長に聞いた――。
堀江陽社長(左)と聞き手の寿司リーマン(右)。スシロー本社(大阪府吹田市)のお膝元、江坂店の前で撮影。
撮影=加藤慶
堀江陽社長(左)と聞き手の寿司リーマン(右)。スシロー本社(大阪府吹田市)のお膝元、江坂店の前で撮影。

人口減少を見据えた省人化が、偶然コロナ禍で生きた

——コロナ禍で外食業界はどこも苦戦しています。なぜスシローは絶好調なのですか。

業績を伸ばすことができた背景には、国内外の積極出店があります。上期の出店は国内で24店。そのうち3店はテイクアウト専門店で、駅ナカ、駅前ビルなど既存店ではカバーしきれなかった立地に出店しました。海外は6店を出店し、3月にはタイのバンコクに同社最大規模となる350席の大型店を開業しました。

コロナ禍でも積極出店できたのは、非接触サービスやテイクアウト・デリバリーにいち早く対応したからです。これらは実はコロナ禍の前から取り組んでいたことなのです。

日本の未来を見据えたときに、間違いなく人口が減っていきますよね。人材確保が難しくなってくる中で、「うまさ」に関わること以外の部分は、機械がやってもいいんじゃないかと思ったんです。要は「省人化」というテーマでいろいろな取り組みを進めていました。例えば「自動案内」「セルフレジ」「自動土産ロッカー」そして、皿のカウントをAIのカメラ画像処理で行う「画像認識による自動会計システム」などの導入です。こうした省人化への取り組みを実験的に導入していく中で、ちょうどコロナ禍がやってきた。省人化の取り組みが、結果的に「極力、人との接触を避ける」というコロナ対策にも繋がったのです。

自動案内
写真提供=スシロー
自動案内
セルフレジ
写真提供=スシロー
セルフレジ
自動土産ロッカー
写真提供=スシロー
自動土産ロッカー

——偶然タイミングが重なったというわけですね。「『うまさ』に関わること以外の部分を機械がやる」ことに関しては、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか。

人がやらなくてもいいことをシステムで解決することで、「もっとうまいすしをつくる」「もっと活気のある店をつくる」というところに人材リソースを活用したい。それによって味、接客の品質を強化したい。そうした狙いもあって省人化の取り組みを進めてきました。