また、アマゾンは自ら小売業者として商品を販売する一方、外部小売業者がアマゾン内で商品を販売する「マーケットプレイス」も運営している。アマゾンは自社の販売が有利になるように外部業者の販売データを不正に利用したという不誠実な前歴もある。

ときにはアマゾンでの商品検索結果を表示する際、アマゾンが販売する商品の価格を外部業者の商品より下げて自社に有利にすることで、競合商品を徹底的に追い落とすことまでやってのける例もあった。

コロナ禍で激増したジェフ・ベゾスの個人資産

こうした逆風もなんのそので、大多数の人々が新型コロナによる病気や雇用・社会不安に気を揉んでいた最中の2020年7月20日、たった1日でジェフ・ベゾスは個人純資産を130億ドルも増やしていた。

その結果、彼の個人資産総額はニュージーランドの年間GDPに匹敵するまでになったのだ。2020年8月には、アマゾンの時価総額は1兆7,000億ドル弱にまで増加し、わずか7カ月で70%増を記録した。

パンデミックの嵐が小売業界全体に襲いかかった一方、アマゾンはその嵐を追い風に、ジャーナリストのブラッド・ストーンの言葉を借りれば「エブリシング・ストア(何でも買える店)」というゴールをめざして順風満帆で進んでいたのである。

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