広告単価の急落に巻き込まれたNetflix
業績好調のNetflixが、熾烈な価格競争に巻き込まれようとしている。ユーザーに請求するサブスクリプション料金の話ではない。同社の今後の収益の柱となり得る、広告単価の話だ。
ライバルの動画配信プラットフォーム「Amazon Prime Video」は今年、世界2億人以上のユーザーのうち対象地域に住む人々の全てを、「広告あり・追加料金なし」のプランに自動的に一括移行させた。
これにより、広告市場に売りに出される出稿枠が急増し、単価が下落。すでにユーザーの購買傾向を把握しターゲティング効果の高い広告を表示できるAmazonを前に、Netflixは戦略の見直しを迫られている。
現在、Netflixの料金は、広告なしの場合で月額1490~1980円、アメリカでは月額最大23ドル(約3400円)と、高額化の傾向にある。同社が広告での収益化に苦戦すれば、ユーザーにも影響が及ぶ可能性がある。
さらに引き上げられた月額料金を支払うか、頻繁に広告が挿入される安価なプランに甘んじるかの2択を迫られる、とのシナリオもあり得る。
生活に浸透しすぎたストリーミング、月額料金が痛手に
各種ストリーミングサービスでの動画視聴は、もはや生活の一部になったと言っても過言ではない。米『フォーブス』誌によると、平均的なアメリカ人は動画・音楽を含むデジタル配信の視聴に、1日あたり3時間9分を費やしている。
現在、アメリカの家庭の99%が少なくとも1つ以上のストリーミングサービスに加入しており、平均して毎月2.9件のストリーミング・サービスに料金を支払っているという。平均金額は、毎月46ドル(約6700円)に上る。
すでに相当な出費となっているだけに、新たなサブスクリプションを購入する余地はほとんどない。
実際のところ、消費者はコストに敏感だ。『フォーブス』誌によると45%のユーザーが、過去1年間に少なくとも1つのストリーミングサブスクリプションを解約した理由として、「高額なコスト」を挙げている。値上がり傾向にあるサブスクリプション料金を考慮すると、新規ユーザーがNetflixに流入する可能性はますます低くなると考えられる。