さあ、夢いっぱいの人生をあきらめよう!

ここまで読んできて、「あきらめるって夢も希望もないな」と思った人もいるかもしれません。

確かに僕自身も、尿意とともに昼寝から目を覚ます、猫をなでてトイレに駆け込む、「今日は何をしたんだっけ?」そんなことを思いながら歯を磨く……不思議とこういう瞬間には、一瞬だけ「焦燥感しょうそうかん」みたいなものが訪れることがあります。

動物でさえ獲物を狩るわけで、労働をせずにただ人生の終わりに近づいていくという行為は、おそらく生まれながらに人間に仕込まれたプログラミング的にはマズいことなんでしょう。

ただ、実際そんな感覚もすぐに収まります。それは僕がそんな人生をあきらめていて、それを許しているから。「今日も死ななくて、えらい」と僕はよく唱えます。日本で生活している限り、あらゆる不慮の場合(災害とか事故とか)を除いて、なかなかゲームオーバーになることはありません。

写真=iStock.com/VITAL MIZHYHURSKI
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やめたらどうなっちゃうんだろう……とぼんやり不安を抱くからみんな我慢の人生を送ることになるけど、現実には大学をやめても、失業しても、家を失っても、最終的には国のセーフティネットがあります。

だから僕らは、「もし~になったら」「老後が~」なんて無限の失敗リスクに怯えるよりも、「とりあえず、死んじゃうかもしれないゲームオーバーだけは避けよう」と肝に銘じておくぐらいでいいと思います。

実際、心配のあまり理想の人生シナリオを綿密に作りすぎると、初期のシナリオと比較して、きっと想定以上の「あきらめる」が生じます。

目標や計画を立てることがモチベーションになる人もいるけど、常に身の丈以上の高いハードルを掲げなきゃいけないのはかなりしんどい。自分で自分を追い立てて作った目標に、首を絞められている人も現実に少なくないでしょう。本当に首を吊る人だっています。