不安があるときは、思い切って処分も

食品や容器包装、保存条件による日持ちの違いは、それで1冊本がかけるくらい、多くの事例があります。しかも、事業者によっても衛生管理のレベルはまちまちです。

よく、「開封してみて五感で判断すればよい」という人がいますが、これも問題があります。食中毒につながる微生物は、腐敗を招く細菌とは異なります。五感では判別できません。

過去の深刻な食中毒事故など知れば知るほど、期限というのは深淵で、ちまたにあふれる「期限切れでも○カ月は食べられる」式の情報は出せなくなります。消費者庁の災害用備蓄食品に対する慎重な姿勢にも、なるほどとうなずきます。

写真=iStock.com/Hidetoshi Miyoshi
※写真はイメージです

「もったいない」と「食品ロス削減」を意識しつつも、安全を大切に。やっぱりまずは、賞味期限内に食べきる努力を。そのうえで、保存方法など不安がある時は、思い切って処分してもよいと私は考えます。

最後は四角四面の結論になりましたが、各種食品の事例を知れば、賞味期限の“深淵”と、検討の科学的根拠をもっと理解できます。そこで次回、さまざまな食品の期限にまつわる事例、エピソードをご紹介しましょう。(後編に続く)

<参考文献>
消費者庁・[食品ロス削減]食べもののムダをなくそうプロジェクト
消費者庁・第3回食品ロス削減の推進に関する関係省庁会議(令和3年4月21日)
農水省・災害時用備蓄食料をフードバンク活動団体等に提供します!
公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会

関連記事
「実質的にはただの水洗い」洗たくマグちゃんは無意味だと言える"科学的な理由"
ホテルに缶詰めで、食事はカップ麺…欧州選手団が怒った五輪前大会の低レベル
無印良品のカレーが異常にマニアックな品揃えになった本当の理由
「おひとりさまの『キッチンに行くのが面倒』に応えた」社員35人の会社がヒット商品を連発できるワケ
「円周率とは何か」と聞かれて「3.14です」は大間違いである