賞味期限の切れた食品は、いつまで安全に食べられるのか。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「安易に五感で判断してはいけない。消費者庁が賞味期限切れの食品について『食べきる目安となる期限』を設定している。これを応用するのがいいだろう」という――。
スーパーで油のボトルを確認する女性
写真=iStock.com/jchizhe
※写真はイメージです

賞味期限切れ問題は一概には答えづらい

「消費期限」切れ食品は、安全性に懸念があるので食べてはいけない。でも、「賞味期限」は品質がベストの期限なので、過ぎていても食べて大丈夫……。この違い、かなり浸透してきました。

とはいえ、思いませんか? 賞味期限切れはいつまで大丈夫なの? 1週間? 1カ月? それとも1年? 

私も、消費者からしばしば質問を投げかけられるのですが、こう答えます。「わかりません」。

なーんだ、と思わないでください。食品やパッケージの種類、保存条件などによって大きく変わってくるので、その食品について詳しい話を聞かないと答えられないのです。

ところがこの春、消費者庁がこの“難問”への考え方をまとめました。国の省庁が持っている災害用備蓄食品に限定して、ですが、賞味期限切れでも食べられる、いや、食べきってほしい「目安」を示したのです。

安全や品質を確認するための検査を行い、熟慮に熟慮を重ねての目安。その結果、賞味期限切れの備蓄食品をフードバンク団体や子ども食堂に寄付し、安心して使ってもらえるようになりました。これは興味深い! その考え方を応用すれば、私たちの家にある賞味期限切れの食品を食べきる目安も検討できそうです。詳しくご紹介しましょう。