脳卒中の発症リスクは最大8倍近く上昇

もともと高血圧や糖尿病の人は、脳卒中や心筋梗塞といった重大な病気の発症リスクが高いとされていますが、新型コロナウイルスに感染すると、この発症リスクが格段に高まります。

中国・武漢での調査によれば、新型コロナウイルス感染による急性期脳卒中の発症率は4.9%と推測されており、呼吸器疾患にかかった初期の3日間に脳卒中発症リスクが3.2~7.8倍増加すると報告されています。

この報告を受けて、国立循環器病研究センター病院の豊田一則副院長をはじめとする世界18カ国の臨床脳卒中医が、新型コロナウイルスに感染した患者が脳卒中を発症した場合の診療の要点をまとめ、脳卒中併発を十分に注意する必要があると呼びかけています。

新型コロナ感染症の治療と併せて脳卒中の治療も必要となると、命取りにもなりかねません。まして、高血圧や糖尿病などの持病で動脈硬化が進んでいる人に限れば、急性脳卒中の発症率は一気に跳ね上がるものと考えられます。

自粛生活で運動量が減り、食べすぎも相まって体重が増えてしまう人が多いようです。感染対策に加えて、適度な運動と食事を心がけましょう。

なぜ糖尿病を持つ人は危険なのか

糖尿病を持つ人は、特に新型コロナウイルス感染に注意しなければなりません。

糖尿病の人が感染すると血糖値が急激に高くなり、網膜症や腎症などの合併症を引き起こすリスクが高まります。さらに、血液中にブドウ糖が異常に多い高血糖の環境では、ウイルスが非常に繁殖しやすいため、感染すると重症化し、回復期間が長くなってしまうからです。

平畑光一『新型コロナ後遺症 完全対策マニュアル』(宝島社)

血糖降下薬にも注意が必要です。特にインスリンが分泌されない1型糖尿病の人は、SGLT-2阻害薬を服用中に感染すると突然、DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)を引き起こす可能性があります。DKAは悪心、嘔吐、腹痛、意識障害などを引き起こすもので、非常に危険です。

SGLT-2阻害薬は、スーグラ、フォシーガ、ルセフィ、デベルザ、アプルウェイ、カナグル、ジャディアンスといった薬剤名で知られています。

ただし、SGLT-2阻害薬以外の血糖降下薬でもDKAを引き起こす可能性があり、DKAは1型糖尿病に限らず、2型糖尿病にも起こります。心配な人は、血糖降下薬の処方やDKAについて、かかりつけ医に相談してください。

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