呼吸困難、頭痛、脱毛…症状はこんなに多い

新型コロナウイルスに感染しても、若い人は無症状あるいは軽い症状だけで治ってしまうことが多いといわれていました。しかし、治ったからといって安心はできません。その後、多くの人がさまざまなコロナ後遺症に悩まされています。

コロナ後遺症の症状は、実に多様です。味覚障害や嗅覚障害はよく知られていますが、ほかにも、長引く微熱(断続的な場合を含む)、倦怠感、疲れやすさ、胸の違和感、咳・喘息ぜんそくのような症状、のどの違和感、呼吸困難、食欲不振、腹痛、関節痛、頭に血が上る感じ・顔がほてる感じ、頭痛、悪寒、皮疹、脱毛などの症状が現れることがあります。

急激に増えたのは、長期にわたって続く微熱を訴える患者さんです。倦怠感や疲れやすさといった別の症状を併せ持つ人も多く、2~3カ月治療しても、なかなか完治しません。食欲不振は、味覚や嗅覚の異常で食事がおいしく感じられなくなったせいでしょう。関節痛は、ひざや足首などの下半身に多く起こっています。関節に限らず、太ももやふくらはぎなどの下半身に痛みを感じる患者さんもときどきいます。

仕事中に肩に痛みを覚え手をやる女性
写真=iStock.com/kazuma seki
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救急車を呼ぶほどつらい「クラッシュ」状態

コロナ後遺症は症状がさまざまで、発症のタイミングも人によって異なります。病院に行っても原因がわからず、「心因性の不調」として診断されるなど、適切な治療が受けられないケースが非常に多いのが現状です。

コロナ感染による後遺症だと判明しても、周囲から「もう治ったのでしょう?」「いつまで怠けているんだ」などと言われてしまうことも少なくありません。こうした声を受けて無理にがんばってしまうと、さらに悪化して、命にかかわることもあります。

後遺症の中で最も多い症状の一つが「だるさ」です。これは気持ちの問題とは無関係で、気力でどうにかなるものではありません。「クラッシュ」という状態になると、歩けない、立っていられないような強い倦怠感で救急車を呼ぶほどの強烈な症状に見舞われる人もいるのです。

コロナ後遺症の対策は、このクラッシュをいかに起こさせないかが重要で、なるべく体を動かさない、無理をしないことが治療の大前提となります。そのためには、周囲の理解が必要不可欠です。コロナ後遺症について、すべての人が正しい知識を持つことが、今後ますます重要になってきます。