補助金合戦で苦境に立つ財源なき日本

EUと米国、そして日本は今年1月、7回目となる貿易商会合を開催した。そして中国を念頭に、補助金に関するWTOルールの徹底を目指すことで合意に達した。要する日米欧の政府は、中国政府による企業への補助金を研究開発など一部のグリーンなものに限定させ、各国間での競争条件が平等になることを要求しているわけである。

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産業競争力の向上を考えた場合、日本でも研究開発などグリーンな分野に関して補助金を充実させることに、一定の意味はあるだろう。しかしながら日本の場合、ボトルネックとなるのが財源である。政府の債務が国内総生産(GDP)の250%を超えた日本では、本年度の予算案のうち実に22.3%が国債の償還に充てられるような状況にある。

資源は無限ではなく有限である。借金を借金で返すような状況にある日本の財政に鑑みれば、その有限である資源ですら自由にならない。あちらを立てればこちらが立たず、結局のところ資源を集中配分させるためには、いずれかの分野が痛みを負うことになる。日本の場合、将来世代に痛みを負わせ続けるような状況が続いている。

米中に見劣る日本の産業支援策

EUもまたコロナショックで財政が悪化したが、27カ国の政府の債務残高はGDPの90%を超えたに過ぎず、日本に比べればかなり余裕があり、それに可能な限りの増税も議論している。そうした中で明らかとなった菅政権による成長戦略の骨子案では、半導体やバッテリーなどの分野へ補助金を充実させる方針が示されている。

その実、バッテリーに関して言えば、日本の研究と開発のレベルは、少なくとも研究室の段階では世界で最先端とも言われている。問題は、実用段階に応用するまでのリードタイムが長いことだ。そうしたボトルネックの解消に日本政府が効果的なサポートを果たせるなら、日本のメーカーが欧州のEV向けにバッテリーを供給する展望も描けてくる。

とはいえ、経産省が用意する補助金の規模は、半導体関連だけでもわずか2000億円に過ぎず、優遇税制などがあるとはいえ、米中の産業支援策と比べると見劣りは否めない。国際競争を念頭に企業への補助金を増やすにせよ、その費用負担を引き続き将来世代に担わせるだけだとすれば、それは非常に無責任なスタンスと言わざるを得ない。

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