女性は「生まれつき」プログラミング向き

1967年には『コスモポリタン』誌で「ザ・コンピューター・ガールズ」という特集記事が組まれ、プログラミング業務での女性の活躍を促した。

「夕食の準備と同じようなものです」。コンピューター技術者の先駆けであるグレース・ホッパーは語っている。

「まず献立を考え、すべての手順を考え、必要なものはすべてそろえておく。プログラミングには、忍耐力と細かいことに対処できる能力が必要です。女性は『生まれつき』コンピューター・プログラミングに向いているんです」

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かつて、プログラミングは高い技術を必要としない事務仕事と考えられていた。だがちょうどそのころ、企業側もプログラミングの重要性に気づき始めた。タイピングやファイリングとはちがって、プログラミングには高度な問題解決能力が求められる。そして、客観的な現実よりも優秀バイアスが勝ったために(すでにプログラミングを行っていた女性たちには当然、スキルがあった)、業界のリーダーたちは男性を対象にトレーニングを開始した。やがて開発されたのが採用ツールで、これは客観的に見えながら、じつは女性に不利にできていた。

女性に不利な採用テストが「典型的なプログラマー像」をつくった

現在、大学で広く実施されている授業評価と同じように、採用時に実施されるこれらのテストは、「求職者のステレオタイプな性格分析しかできず、職務への適性については見えてこない」と批判の声が上がっていた。こうした採用ツールができたのは、データにおけるジェンダー・ギャップのせいなのか(探し求めている性格の特徴自体が男性偏重であることに気づいていない)、直接差別のせいなのかはわからないが、実際に男性に有利にできているのは否定しようがない。

「細かいニュアンスに欠け、特定の問題への対処能力」しか測れない多肢選択(マークシート)式の適性テストは、数学の雑学的知識ばかりを問うもので、当時の業界のリーダーたちでさえ、プログラミングとはあまり関係がないのではないかと思うようになっていた。そのようなテストでわかるのは、当時の男性たちが学校で習得した数学のスキルくらいだ。あとは、求職者がどれだけ人脈に恵まれているかもよくわかった。というのも、適性テストの回答は大学の友愛会やエルクス・ロッジ(アメリカを拠点とする友愛会)など、男性限定のネットワークで出回っていたからだ。

かくして、典型的なプログラマー像が形成されていった。