「弁護士」「労働基準監督署」「労働組合」を上手に使いこなそう

解雇トラブルに限らず、会社でなにがしかのトラブルに巻き込まれたとき、弁護士・労働基準監督署・労働組合のいずれかに相談すれば解決に向かう。だが、やはりそれぞれメリットとデメリットがある。

①最強だがコスト高の「弁護士」

弁護士は基本的にどのような問題でも介入できる。だから、労働法に強い弁護士に相談するのがベストであるのは間違いない。デメリットは法律相談や具体的に対処してもらうためには費用がかかるところ。最初から最後まで面倒を見てもらうなら、80万円程度はかかると思っておいたほうがいい。

②無料だが時間がかかる「労働基準監督署」

労働基準監督署は、労働問題の警察官としての権利も与えられている。法律に違反している行為が発生している場合は、会社に対してにらみをきかせることができる。もちろん無料。デメリットは労働基準監督官は慢性的な人手不足で、援助を申し出ても時間がかかることが多い。

③無料だがはずれもある「労働組合」

労働組合は日本国憲法第28条で権利を保障された団体で、会社の代表を話し合いの席につかせたり(団体交渉権という)、会社の仕事を一時的に放棄する権利を持つ。2名以上の社員がいれば簡単に設立できるうえに、問題解決後も会社ににらみをきかせることができるため、問題が再燃する可能性が低いというメリットがある。もちろん無料だ。

デメリットは、労働法を熟知していない、あるいは経験が浅い組合の場合は、会社に振り回されたあげく、解雇を押し切られてしまうリスクがある点だ。

任せきりにせず、使える手はなんでも使え

このように、会社となんらかのトラブルが生じた場合には、弁護士、労働基準監督署、労働組合のいずれかに相談すれば解決の糸口がつかめる。かなりの確率で、解雇の撤回や慰謝料など、なんからの成果が得られるだろう。

松沢直樹、山岸純(監修)『おっさんず六法』(飛鳥新社)

覚えておきたいのは、弁護士にすべて任せられる場合を除いて、基本的には自分が主体的に動く必要があるという点だ。理不尽な解雇は違法であることが多いが、自分からなんらかのアクションを起こさないと助けてもらえない。

それを前提に、より有利にわが身を守るにはどうすればいいのか──?

3つすべてをフルに活用するのだ。高コストの弁護士には最初に「具体的にどのような方法で会社の違法行為を追及するべきか」を教えてもらい、その後で無料の労働基準監督署に相談して、動いてもらおう。時間がかかりそうならば、労働組合に相談して会社と交渉する。

その場合は、自分が主体的に動くという姿勢が特に重要になってくる。労働組合は互助組織で、基本的にあなたをお客さん扱いしてはくれないからだ。とにかく、使えるものはなんでも使うことが、解決に導くための近道だ。

ここがPOINT!
・労働法に強い弁護士に依頼するのがベストだが、他にも方法はある
・「弁護士」「労働基準監督署」「労働組合」にはそれぞれメリット・デメリットがある
・自分が主体的に動くことが大事(弁護士にすべて委任する場合を除く)
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