「あいつは本物だ。任せてみよう」

オーナーは遠い目をし、深くうなずいていた。経営会議がはじまった。会議は紛糾した。オーナー以外からは僕と組むことに、やはり反対の嵐。

関谷有三『なぜ、倒産寸前の水道屋がタピオカブームを仕掛け、アパレルでも売れたのか?』(フォレスト出版)

「あんな若い素人に絶対に任せられない」

オーナーは言う。

「最後は、人だ。あいつは本物だ。任せてみよう」

幹部が言う。

「上手くいく根拠を教えてください。素人ですよ。オーナー、失敗したら、春水堂の名に傷がつくのですよ」

会議は平行線のまま、永久に続くかとさえ思えた。最後に、オーナーが静かに力強く言った。「春水堂はわたしがつくったブランドだ。公務員をやめて起業した時、親や周囲は全員大反対だった。彼と出会ってあの頃の気持ちを思い出したんだ。もし全力でやって失敗したなら構わない。その時の責任は、わたしが取る」

そうして、僕はオーナーの息子さんと合弁会社をつくり、日本での春水堂展開を進めることになった。海外に出ないはずだった春水堂の、奇跡ともいえる日本進出。ネット上では、一部の台湾フリークの間で大騒ぎとなっていた。

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