コロナ不況でも儲かる飲食店はどこが違うのか。実業家の堀江貴文さんは「たとえばラーメンチェーンの一蘭は、お客にオーダーシートを書かせるなど徹底的に効率を高めることで、収益性を高めている。ライバルを出し抜くには、業界の常識を疑うことだ」という――。

※本稿は、堀江貴文『死なないように稼ぐ。』(ポプラ新書)の一部を再編集したものです。

堀江貴文さん
撮影=ワタナベアニ

「ホットペッパーグルメ」に頼る店の問題点

飲食店は常連さんに支えられている。そして、常連さんになってもらうためには「最初に2〜3回お店に来てもらう」ことが先決だ。

飲食店の予約台帳サービス「トレタ」には、「常連化曲線」という概念がある。

来店回数を重ねるほど再来店率が上昇するが、その上昇率は直線的ではなく、二次曲線を描くように、最初の2〜3回で急激に上昇する。初めて来たお客さんのリピート率は10%程度だが、2回目に来たお客さんは32%程度、3回目は48%、4回目は58%、5回目は65%といった具合だ。そして、それ以降は7割以上のお客さんがリピートしてくれるようになる。

ポイントは最初に説明した通りで、「常連さんになってもらうにはまず3回来てもらう」ことが重要なのだ。

飲食店は集客を「ホットペッパーグルメ」に頼っているところが多いが、たいていは初回来店時のクーポンや割引が目当てのお客さんなので、2回目の来店につながる確率は平均よりも少ない傾向がある。

ヘアサロンやネイルサロンも「ホットペッパービューティー」を使っているお店が多いが、これも同じく新規の集客がメインだ。店舗の利益率向上にはむしろマイナスになっている。

クーポンが目的の新しいお客さんをたくさん集めるよりも、来てくれたお客さんへの対応をより丁寧にして、リピートしてもらうことが非常に大事だということだ。

常連さんになってもらうための戦略として「バーチャル行列」を作る手もある。

僕が考えた新しい概念で「行列ができているように見せること」ともいい換えられる。物理的な行列はなくても、「待っている人をプールする」ことで行列ができているのに近い状況を生み出し、人気があるとPRする作戦だ。