常識を疑い、オートメーションなどの工夫を取り入れる

徹底して考えられているので、『一蘭』の代表取締役社長である吉冨学さんは日本のレイ・クロックだと思っている。

レイ・クロックはマクドナルドの創業者。フランチャイズ展開することで世界最大のファストフード店に育てた立役者だ。

マクドナルドは、1940年代に生まれた「オートメーション」を取り入れたのが画期的だった。自動車を生産するために「フォード」の工場で行われていたオートメーションを、ハンバーガーショップに応用したのだ。

スマホが普及し、キャッシュレス決済も広まってきた今なら、飲食のいろんな業態でオートメーションは応用できる。

スマホでオーダーできてセルフで提供すれば、ホールにスタッフはいらなくなる。

皿洗いと清掃が外注できれば、ワンオペで店舗を回すこともできるだろう。常識を疑い、オートメーションなどの工夫を取り入れれば、ラーメンやハンバーガーでなくてもライバルを出し抜くことは可能だ。

飲食店の競合はもはや飲食店だけではない

「人」にフォーカスしたスナックが最強の飲食店ではないかと思っている。

「トレタ」の代表、中村仁さんと対談した際に、僕が「スナックは最強」だと思う前提をわかりやすく解説してくれた。

今までの飲食店は「料理」「人」「場」の3つの要素が渾然一体となって構成されていた。それがテクノロジーによってアンバンドル(分割)されて、個別に解体されるようになってきた。

つまり、料理はデリバリーで頼めるし、シェフも手軽に呼べるし、場所も簡単に借りられるようになったのだ。

そうなると、飲食店の競合はもはや飲食店だけではない。さまざまなサービスとの戦いになっている。従来の考え方で思考停止しては、勝ち残ることはできない。

「何で勝負するのか」「どんな価値を提供するのか」といったことをより明確にする必要があるのだ。

それはつまり、何にフォーカスして、何を妥協するかということでもある。

そこでおすすめしたいのが「人」にフォーカスして勝負するやり方だ。