銀行にとって冬の時代が続いている

日銀は3月18、19日の金融政策決定会合で8年間におよぶ大規模金融緩和策の点検を行い、政策の一部を修正した。

撮影=プレジデントオンライン編集部
東京都中央区にある日本銀行本店

「長期金利の誘導幅をプラスマイナス0.25%に若干広げるとともに、上場投資信託(ETF)の購入について原則、年6兆円としていた購入額の目安を削除する内容。しかし、肝心な2%の物価目標は達成できていないことから、6兆円の購入削除が金融緩和の後退と受け止められないようETF購入の上限である年12兆円の枠は維持した」(市場関係者)。

4月以降は市場が混乱した場合のみETFを買うなど、よりメリハリをつけた運用にシフトすると見られている。

この点検で民間金融機関が密かに期待した日銀によるマイナス金利政策の解除は見送られ、大規模な金融緩和は今後も継続される。このことは、とりもなおさず金融機関の収益環境は厳しい状況が続くことを意味する。とりわけ人口減少や地域経済の縮小に苦しむ地銀の経営環境はこれまで同様、逆風が吹き続けることになる。

翻って、菅義偉首相は昨年秋の自民党総裁選の過程で、「地方の銀行について、将来的には数が多すぎるのではないか」と語り、「再編も一つの選択肢になる」と指摘した。

銀行の歴史は再編の歴史でもある。日本経済の血流である資金供給を担う銀行は長い時間をかけて合従連衡を繰り返してきた。また、金融行政においても銀行の再編は中心課題であり続けた。

今後、数が減ることは避けられない

菅首相が地銀の再編に言及したのは、「地方創生を推し進めるためには、地域経済の血流を担う銀行がしっかりすることが重要であり、そのためには再編も選択肢となる」ということであろう。経済規模が縮小する中、銀行の数が相対的に多い地域があることは事実だ。

しかし、再編は同時に、銀行の多様性を喪失するリスクがあることにも留意しなければならない。このことは80年代には12行あった都市銀行が3メガバンクとりそなホールディングスに集約されたことからも分かる。

大手銀行の数が激減したことに伴い、企業の取引銀行も集約され、借入チャネルは細った。

同様に地銀の再編も促進され、今後、数が減少することは避けられないだろう。すでにその環境整備は行われている。