例えば、金融機関の業務範囲は法令で定められており、信用金庫法では取引できる法人の規模は規定されている。信用金庫は従業員数300人超、かつ資本金9億円超の企業には融資が行えない。仮に第二地銀が信用金庫に転換した場合、既存取引先への融資が継続できなくなる恐れがあるのだ。
このため改正される合併転換法では、こうした融資についても、一定の条件を満たせば金額、期間に関係なく資金の供給を続けられるように措置されている。
「ウルトラC」の施策が実現するのか
金融庁は合併転換法の改正案を準備しており、今国会に上程される見通しだ。
ただし、第二地銀が信用金庫と同様の協同組織金融機関となり、同じ土俵で競争することには、信金業界の反発は根強い。
また、信金関係者によれば、「第二地銀が信金と統合し、協同組織金融機関に転換した場合、営業基盤が限られるという問題も残る」とされる。
このため、合併転換法の改正案には総論賛成でも各論では異論が噴出する可能性が高いと見られている。だが、現在の厳しい経営環境が続けば、いずれ地域金融機関の救済措置が必要となる。その時、第二地銀の信金転換はまさに「ウルトラC」の施策として一挙に現実味を帯びてきそうだ。